5ラブ 内緒の関係
俺は振り返る、フクロウ事件から始まり友人ラブレター事件。俺の周りでラブが渦巻いている、クラスの三割程度が汚染されている。
何にって、ラブにだよ!
まだ、他のクラスのとか、違う学校のとかなら、まぁ許せる範囲だ。それがクラスの三割って確率高くね?何がどうなってラブコメみたいなものが発生するんだよ、りあじゅうばくはつしろ、なんて俺は言いたくない、言いたくないが、
リア充爆発しろ!心の中で周りを罵った。
フクロウ事件の二人はあれからまた急々接近、互いに飼う犬を連れて休日にデートをしたらしい、本人達は否定しているが確実に犬をだしにしたデートだろ!
二階堂解り過ぎ事件の二人は、何か知らんが二階堂に敵意を向けられている、いやいや、俺は邪魔する気とかこれっぽっちも、ミジンコミドリムシ程度も思っていない、勘違いだ!全力で二ノ宮との仲を応援するが関わりたくないから見ないでくれ、なのでフルシカト状態。
体育館倉庫しりとり事件は違うクラスだが、鮎川の友人が俺のクラスにいるため、友人訪ねのついでに此方もまた敵意みたいなもんを向けられている、いや、知らねーから、体育館倉庫でちゅっちゅっしてるのはそちらさんが勝手にした事だから、閉じ込められた俺が被害者だから!
そして、友人の意味不ラブレター、まさかの最初はお友達で発言。ちょ、アレで?え?あれで?源太郎に聞くと、放課後俺が言った好きですで良くね?の発言を実行、気持ちは受け取って貰え友達付き合い、って、おい!ラブレター見損じゃねーか!
そしてまた、新たなラブコメが生まれるようだ……。
「先生、私、理事長の孫で美少女な見た目で先生にとったら自惚れじゃないくらい高嶺の花だと思うんです。先生が好きです、だから卒業したら結婚しましょう」
「……………へ?」
俺も、へ?である。
放課後の理科室、源太郎に借りてた理科の教科書を取りに戻れば出くわした、教師と生徒の会話。
「聞き取れませんでしたか?ならもう一度言いますが…」
そう言ったのは生徒の方である、
「いやいや、き、聞いてた!聞いてたよ!?だから、驚いて…」
そして、答えたのが俺のクラス担任である
「問題ありますか?」
「も、も、も、問題ありまくりだよ!」
今回は百合か?百合なのか?ラブコメもついに百合時代に突入か。このまま行くとボーイズラブにも会う事になるのか?俺はまた巻き込まれるのか!?頭を抱え、
蹲る中で二人の会話は続けられる、早く結論してくれ、家に帰ってアプリゲームをしながらぐっすり眠りたいと現実逃避する。
「ま、先ずは君は生徒で、私は先生であるからこの時点で駄目だよね?」
先生らしい言葉だが、果たして愛野さんに通じるのだろうか。
「駄目じゃないですね、卒業すれば問題ないかと」
案の定、愛野さんの答えはNO、最初から駄目だと思ったら同性に、ましてや教師に告白はしないだろう。先生はもう諦めて百合世界に突入してくれ、と投げ遣りに思う。俺は早く帰りたい。
「……君には同い年の子とか合うだろうし、そもそも……私は女だからね!?」
「問題ありますか?」
「あ、あるよ!好きと言う感情を、ひ、否定する訳じゃないけれど、性別的な問題があるし、君はとてもモテているから私じゃなくても君に合った男の子がいると、私は歳も取ってるし…」
先生の言葉を聞き、俺は少し冷静になる。本当に先生らしい言葉だ、見た目はちょっと、等と思う相手もいるだろう。
「先生が気にしてるのは、性別と年齢だけですか?」
愛野さんの問い掛けに、俺は心の中で答えてみる。本気で好きなら気にならないだろうが、生憎先生は気にしてると思うよ、愛野さん。
「そりゃ、まあ…一番の問題じゃ…けど、君は大事な生徒でもあるし、憧れみたいなものかも知れないから、ちょっと考えてみようよ、落ち着こう」
どうにもならないだろうが、先生は傷付かないように言葉を選んでるんだろうな、とぼんやり思った。会話も終わりかけ、ついにこれでラブは失敗かと思ったが、愛野さんはとんでもない事を言う。
「問題ないです、だって私は……俺は男で将来は優良物件、先生にとったら逃したらいけない存在ですよ。俺も逃しませんけど、じいちゃんに言って先生は俺のもんって事で。大丈夫、卒業するまで我慢しますよ、先生」
愛野さんの言葉、耳が良いために聞こえたリップ音、慌てる先生の声は驚きに満ちている。
俺も驚く……まさかの、男の娘だと!?ちょ、百合から男の娘展開……っつうか、またハードル上がったラブかよ!
ほんと、どうなってんだ、この学園。
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