第91話 ワイバーン討伐
車を降りてワイバーンを迎え撃つ。
嬉しそうな蒼真は風を纏って我先にと駆け出す。
負けじと追い掛けるアイリは、体から放電しながら蒼真を追う。
千尋とリゼは歩いて向かい、その後ろを朱王はゆっくりと車を進める。
ミリーは上空から襲ってくるワイバーンを迎撃する為車の上で待機する。
後部座席には勇飛パーティー。
ワイバーンの根城まで行ったら戦ってもらおう。
上空を飛ぶワイバーンに向かって跳躍する蒼真。
右袈裟に刀を振り下ろすとワイバーンは炎を吐き出す。
風の鎧が炎を逸らし、蒼真の刃がワイバーンの鼻先を斬り付ける。
アイリは落ちてきたワイバーンに向かってイザナギを放つ。
体勢を整えようとしたワイバーンだが、イザナギの雷撃により麻痺を起こしてそのまま落下。
風に乗って急降下する蒼真が加速度と重力操作でワイバーンの頭を貫く。
まずは一匹目。
素材集めだと考えている蒼真は、無駄に傷つけないように倒したようだ。
まだ三体がこちらに向かっている。
アイリは魔法陣を発動し、自分に向かってくるワイバーンへと走り出す。
バチッバチッと瞬雷で詰め寄り、ワイバーンに気付かれぬまま腹下からの雷の刃。
蒼真の真似をして【雷刃】と名付けている。
雷刃は斬撃と雷撃による強力な一撃だが、蒼真の風刃のように伸ばしたり放ったりする事はできない。
しかし衝撃と麻痺、体内への熱ダメージを与えるという複数の追加効果があり、攻撃に重さを乗せていないアイリにとって最も攻撃力のある技となった。
腹を裂かれたワイバーンは内臓を撒き散らしながら地面を転がっていき、倒れ伏した死体からはプスプスと煙が上がっていた。
頭を貫いたワイバーンに乗る蒼真に向かって、続くワイバーンが真上から高速で舞い降りてくる。
蒼真は素材が傷つけられると思ったのだろう、横方向に走り出す。
風を纏った蒼真はワイバーンが飛翔するよりも速い。
追うワイバーンがほぼ真後ろから向かってくる事を確認し、距離を見定めて地属性魔法を発動。
盛り上がった大地がワイバーンの腹を突き上げる。
息を漏らして地面に落ちるワイバーンの頭に刀を突き刺してとどめを刺す。
実に鮮やかに仕留めていく。
蒼真とアイリの戦闘を見て勇飛達は顔を引つらせた。
強いのだろうと予想はしていたが、その予想を遥かに上回る強さだった。
残りの一体は車に直接向かう。
車上にはミリー、車の前を歩くのは千尋とリゼ。
リゼがルシファーを薙いで魔力を練りだし、千尋はリゼに任せて見守る。
「シズク、行くわよ」
どうやら勉強したての水魔法を試したいようだ。
イメージを込めた魔力をシズクに渡し、距離を見定めて最速の剣尖を放つ。
水飛沫を上げたルシファーは飛翔するワイバーン目掛けて一直線に放つ。
ワイバーンが剣尖をヒラリと交わした瞬間ルシファーを右に薙ぎ、刃がワイバーンの鼻先を掠める。
その直後に地面に落ちて転がっていくワイバーン。
しばらくの間悶絶し、大量の血を吐きながら白目を剥いて絶滅した。
「…… 今何したの?」
「空気中の水を集めてバジリスクの毒に変えたのよ。まぁ人間には効果が無いように改良された魔法みたいだけど」
なかなかに恐ろしい魔法を使用するリゼだった。
改良せずに人間にも効果があったらとてつもなく危険な魔法となるだろう。
向かって来た四体のワイバーンを倒したので朱王がその翼を確認する。
ワイバーンには個体差なのか色の違いがある。
倒した四体とも茶色っぽいが、赤味がかった個体や青味がかった個体など様々だ。
遠くからこちらを見下ろす巨大なワイバーンは彩り鮮やか。
素材として使えるか期待して待つ。
「今倒したのはまだ若いワイバーンだね。素材として使えなくもないけど強力な敵と戦闘するならもう少し強度が欲しいかなー」
それでも素材に使えるならと翼を切り落として回収する。
素材の処理は討伐終了後にまとめてやる事にした。
という事で翼を切り落とした四体のワイバーンは魔石に還す。
体は魔石へと還り、斬り落とされた翼だけが残った。
次に狙うのは強そうな個体。
岩山から見下ろしている派手な色をしたワイバーンだ。
切り落とした翼を車の屋根に括り付け、再び車に乗り込んで岩山へと近付いていく。
岩山の少し手前で車を降りて戦闘準備だ。
見える範囲でワイバーンの数は十三体。
一人一体は相手にできそうだ。
派手なワイバーンは七体。
他はまだ少し茶色っぽさが残る為、中でも若い個体なのだろうと予想する。
各々好きな色のワイバーンに狙いを定める。
茶色っぽさのあるワイバーンを一体ずつナスカとカイン、エレナが相手取る。
三人共勇飛よりも戦闘能力が劣る為だ。
勇飛が狙うのは、緑色の個体。
精霊魔導師となって初の戦闘に緊張する。
下級魔方陣ファイアを両手で発動し、左右のサラマンダーを顕現させる。
両肩に止まったサラマンダーは重さも熱も感じる事はない。
ミリーと同じ爆破を利用した加速で一気に岩山を駆け上がる。
緑色のワイバーンは勇飛目掛けて炎のブレスを吐き、勇飛は右のサラマンダーに魔力を渡して、右の拳から炎を放つ。
相殺し合うブレスと勇飛の爆炎。
そこから一気に距離を詰めて爆裂魔法の連撃。
今までの威力を遥かに超える爆破がワイバーンをブチのめす。
無抵抗に殴られ続けたワイバーンは、最後に顎を蹴り上げられて絶命した。
ナスカは茶色っぽさの残る赤いワイバーンに向かって走り出す。
下級魔方陣を発動し、強化した肉体と先程アイリが使っていた雷を纏って走る。
ヴォルトを介した魔力はナスカから放つ放電を数倍にする。
イメージ力の低かったナスカだが、精霊魔法はその不足したイメージ力を補ってくれるようだ。
ワイバーンは飛翔してナスカに襲い掛かる。
ナスカのダガーとワイバーンの爪が交錯し、雷を纏った一撃にワイバーンは爪を弾かれ上空へと舞い上がる。
やはりアイリのようにはダメージを与えられない。
まだ擬似魔剣に魔力を多く流し込めない為、威力がそれ程上がらない。
出力が足りなければ、魔力を高めてから放つのは基本中の基本。
無意識に擬似魔剣に魔力を流し込んで魔力を練る。
そして気付く、大量の魔力がダガーに溜められる事に。
溜め込んだ魔力はヴォルトに渡り、ナスカのヴォルトはウサギのような精霊として顕現する。
ナスカの足元に立つ二体の雷兎。
滑空してくるワイバーンに向かい、跳躍して右ダガーの逆袈裟斬り。
爆発の如き一撃がワイバーンの体内を貫く。
地面へと落ちていくワイバーンに向かってナスカも落ちていく。
落ちたワイバーンにとどめの一撃。
左のダガーで突き刺すと共に、雷兎がワイバーンの体内を焼く。
息を乱しながらも勝利したナスカ。
嬉しさから笑顔が溢れる。
カインは黄土色のワイバーンへと向かって走り出す。
手始めに弓を引き、活発になったサラマンダーの魔法の矢を放つ。
ワイバーンは向かってくる炎矢にブレスを放って相殺する。
カインは相殺された事には驚かず、自分の放った炎の矢に驚いた。
これまでの炎の矢では、ただブレスに飲み込まれて消えていただろう。
しかし今放った一矢で相殺する事ができたのだ。
充分すぎる程に威力を増したミスリル魔弓。
次に下級魔方陣ファイアを発動しての炎の矢を放つ。
ワイバーンがブレスを吐いて相殺を試みるが、ブレスで相殺し切れずに口内に矢が突き刺さる。
悲鳴をあげるワイバーン。
これまでの全力の炎矢よりも高い威力。
では今全力で放ったら? と魔弓に魔力を溜め込むカイン。
魔木とミスリルのエンチャントで総魔力量3,000ガルド。
同時に下級魔方陣で更に魔力を上乗せされる。
カインの全力の一矢。
ワイバーンも全力でブレスを放つが無駄な足掻き。
頭ごと炎に吹っ飛ばされて絶命した。
エレナは苔色をしたワイバーンに向かう。
下級魔方陣を発動し、風の精霊シルフと共に軽々と岩山を駆け上がっていく。
向かってくるエレナに向かって岩を蹴り落とすワイバーン。
岩を横に回避した瞬間に襲い掛かって来た。
ワイバーンの爪を剣で受け止めるが、次の瞬間ブレスが放たれる。
シルフに魔力を渡し、全力で風の防壁を作り出す。
ブレスを多少浴びたが致命傷ではない。
体制を立て直してワイバーンと向かい合い、ワイバーンが飛び上がろうとしたところでシルフが風を巻き起こす。
飛び上がれないワイバーンは苛立ちから威嚇の声をあげる。
魔力を練ってワイバーンの隙を待ち、再び飛び上ろうとしたところで距離を詰め、跳躍して首筋を斬り付ける。
悲鳴をあげるワイバーン。
さらに追い討ちをかけるエレナは一気に畳み込む。
風魔法を纏った剣での連撃はワイバーンに飛び上がる事を許さず、一方的に斬り刻む。
息を切らしながらも何とか倒す事ができた。
蒼真の狙いは濃紺の体に青白い翼のワイバーン。
魔竜といった様相のワイバーンだが大きさでは二番目といったところか。
それでも他のワイバーンの二倍とも思える程には大きな魔獣だ。
蒼真が駆け出すと、息を吸い込んでブレスを吐き出すワイバーン。
跳躍して回避した蒼真に向かって今度は火球を大量に放ってくる。
いずれも青白い炎。
この個体はワイバーンの中でもかなり特殊だと予想する。
飛翔しながら火球を放ち続けるワイバーンに対し、蒼真は回避できない火球を風刃で相殺する。
連続して放たれる火球は相殺する蒼真を後方へと押し退けていく。
そしてワイバーンが飛翔して回り込んだ為、蒼真の背後には岩山が
破壊される岩山と相殺しながらも岩山へと押し付けられる蒼真。
ランの爆風が頭上から降り注ぐ岩を逸らす。
予想外な程に押される蒼真だが、その表情は楽しそうだ。
ワイバーンの火球が途切れた瞬間に飛び上がる蒼真はランを介しての全力の風刃。
翼を広げて風魔法を発動するワイバーン。
圧縮した空気がワイバーンの前方に作り出され、直撃すると共に風刃が横へ逸れる。
重力に引かれて地面へと落ちていく蒼真。
ワイバーンは体を翻して蒼真に向かって滑空する。
ニイッとした蒼真は充分に引きつけてから全力の風刃を頭に叩き込む。
霧揉み状態で飛ばされていくワイバーンは地面に落ちて大地を揺らす。
あれだけの風刃を受けてまだ原型を留めている。
地面に着地した蒼真はワイバーンに向かって歩き出す。
痛みに震えながらも起き上がったワイバーンは咆哮をあげて威嚇する。
魔力を練り直し下級魔法陣を発動する蒼真。
息を吸い込み火球の連弾を放つワイバーン。
駆け出しながら相殺せずに全て払い除け、ワイバーンの眼前で唐竹に刀を振り下ろす。
蒼真の風刃をさらに高圧縮した一撃は、頭だけを真っ二つに斬り裂いた。
アイリが向かうは紫色のワイバーン。
やはり紫色が好きなアイリ。
下級魔方陣を発動して雷狼を待機させ、駆け出すと同時にワイバーンも飛び上がる。
自分に狙いを定めた事に気付いたようだ。
襲い来るワイバーンと接触する前にバチッと姿を消し、一瞬で目の前に現れたアイリ。
反応できなかったワイバーンの頭に双剣での雷刃。
その衝撃が頭を割り、脳や体内を焼き、硬直した体のまま地面を転がる。
跳躍してヒラリと着地するアイリほ自分が思ったように倒せた事で満足そうだ。
リゼが狙うのは薔薇色のワイバーン。
鈍色が混じり、ピンクのようにも見える個体だ。
リゼと視線が合うと滑空して向かって来る。
離れた位置からリゼの戦闘を見ていたのだろう、毒魔法を発動する前に接近戦を選んだようだ。
水魔法の性質変化にはしっかりとしたイメージ力が必要な為、発動には時間が掛かる。
ルシファーを薙いでワイバーンを見据え、いつものようにリッカとシズクで迎え討つ。
ワイバーンがブレスを吐くと同時に、大量の水を放出すると共に氷結させる。
ブレスは氷塊に遮られ、振りかぶったリゼは得意の最速の剣尖を放つ。
ワイバーンの開いた口に刺し込まれた剣尖は一直線に体を貫き、同時にフラウによる氷結。
体内から凍りついたワイバーンは生命活動を停止させた。
ミリーの狙いは真っ赤なワイバーン。
遠目に見れば火竜と言えなくもない見た目だが、
ミリーが魔力を放出すると、殺意をもって飛び立つワイバーン。
上空へと飛び上がったワイバーンはその身を翻し、垂直にミリーに向けて滑空してくる。
ミルニルで受けても質量に押し潰されるだろう、回避する為に駆け出すミリー。
翼を羽ばたかせてミリーを追うワイバーン。
振り返ったミリーは、噛みつかれる寸前に渾身の一撃を顎下から打ち上げる。
爆裂魔法が炸裂し、顎を砕かれ上空を見上げるワイバーン。
そのままバットのように持ち直したミルニルを、ワイバーンの腹部目掛けて振り抜く。
隙だらけの腹部にミリーの爆裂魔法。
内臓まで破壊されたワイバーンは力なく崩れ落ちた。
朱雀は真っ黒なワイバーンを狙う。
朱雀を見て飛び上がったワイバーンは、降りてくる事なく朱雀を見下ろす。
「なんじゃーーー!! かかってこーーーい!!」
朱雀の叫び声虚しくワイバーンは向かってくる事はない。
しばらくして諦めた朱雀は剣を握りしめて炎を放つ。
背中から生えるのは紅蓮の炎翼。
魔力を大量に放出して飛び上がり、ワイバーンの頭上から右袈裟に振り下ろす。
剣から放たれる紫炎はワイバーンを容易に斬り裂く。
炎は燃え移る事なく切断面を真っ黒に焦がし、ワイバーンは地面へと落ちていった。
千尋が狙うのは純白のワイバーン。
翼はキラキラと金色に輝く。
十三体の中でも一際大きく、ワイバーンの中でも最強の個体だろう。
リクとシンに魔剣を持たせ、両手にエンヴィとインヴィを握りしめる。
ワイバーンを素材とするなら下手に傷つけないように一気に片付けるべきだろう。
下級魔方陣を発動し、一回り大きくなったリクとシンがワイバーン目掛けて襲い掛かる。
ワイバーンは体外に魔力球を複数精製し、向かってくる魔剣を風球で弾き飛ばす。
一緒に飛ばされるリクとシンはダメージもないので問題ない。
魔力球なら千尋も負けない。
魔力球を分割して炸裂弾としてワイバーンに放つ。
負けじとワイバーンも風球で応戦。
千尋とワイバーンの周囲で数え切れないほどの爆発が起こり、距離を詰めた千尋はエンヴィをワイバーンに振り下ろす。
飛び上がるワイバーンは魔力を高め、強化した鱗は剣をも弾く。
剣で斬れないのならばと
空に舞い上がるワイバーンに続いて千尋も飛び上がる。
四刀流に重力操作を加えた乱撃でも地面に落ちないワイバーンは、とても難易度10の魔獣とは思えない程に強力だ。
千尋は魔力球を次々と消費していき、ワイバーンも魔力球を再精製して風球で応戦するが、供給が追い付かずに炸裂弾を浴び始める。
しかし強力な外皮は炸裂弾でも傷付ける事ができない。
それでもダメージは蓄積する。
どこまでも続く連撃がワイバーンの体を軋ませ、次第に高度も落ち始める。
ワイバーンは痛みに耐えながらも爪や牙で直接襲い掛かる。
苦し紛れの直接攻撃では千尋は難なく躱して反撃を繰り出す。
このまま押し切れば勝てる。
しかし純白のワイバーンはここに来て初めてのブレスを吐き出す。
至近距離からのブレスに炸裂弾を集中させて防壁とするが、目の前で発生した爆風がお互いの距離を大きく広げる。
距離が開いた瞬間にワイバーンの魔力が膨れ上がる。
口を開き、口内に強大な魔力球と周囲にも魔力球を精製していく。
全力の一撃を放つのだろう。
千尋もそれに合わせて魔力を練る。
魔力を高めた炎のブレスと風球が千尋を襲う。
千尋はブレスが放たれると同時に姿を消す。
ブレスと風球は千尋がいたその後方へと放たれた。
千尋の後方に立つのは戦闘を終えた他のメンバー。
全員がくつろぎながら千尋の戦闘を見守っていた為隙だらけだ。
突然のブレスに誰もが焦る。
「うわっ!? 車が燃える!!」
焦った朱王は朱雀丸に溜まった魔力で火焔を放ち、相殺するとともに風球を全て斬り裂いた。
朱王がブレスを防いだ事で安心した一行。
ところで千尋はどこに行ったのか。
ワイバーンのブレスが搔き消えるとともに、ズズズと地面が持ち上がって出てきた千尋。
どうやら地面を窪ませて回避したようだ。
できれば後方にも配慮して戦ってほしいところだが。
特大の魔力を放ったワイバーンは隙だらけ。
魔力を練って準備してある千尋は上級魔法陣グラビトンを発動。
そして両手の剣を
魔剣を持ったシンとリクは上空で待機。
ベルゼブブを抜いてワイバーンへと向けて放つ。
放たれた銃弾はミスリル弾。
追従するのはエンヴィとインヴィ、そしてエクスカリバーを持ったリクとカラドボルグを持つシン。
重量を増した四本の剣は、ライフル弾の如き速度で放たれるミスリル弾と同じ速度でワイバーンに向かう。
頭目掛けて放たれた四本の剣は、その質量と速度も相まって容易くワイバーンの頭を貫いた。
脳を破壊されて絶命するワイバーン。
ようやく全てのワイバーンを討伐する事が出来たようだ。
朱王は残りの若い三体のワイバーンを誰にも気づかれる事なく倒していた。
「私は空を飛べるからー」と、どうやら飛行装備を使用して倒したようだ。
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