第33話 新たな生活
「シノブ!!どうしてこの竜族もいるんですか!?」
家に帰るとまさかのこの態度だ。
もしかして竜族とエルフは仲が悪かったんだろうか…………
「も、もも、もしかして本当にけけけ、結婚を!?」
「いやいや落ち着いてシナモン…………」
「フレアは今日から僕たちと済むんだよ」
「はい、今日からお世話になります」
「よろしくお願いします、シナモン」
フレアはぺこりとお辞儀する。
その態度にシナモンは一瞬たじろぐものの『そうですか』と言って納得してくれたようだ。
「でも!シノブは私のモノですからね!!」
そう言ってシナモンは僕の腕を掴む。
いや…………おかしいでしょ…………
「その言葉は聞き捨てなりませんね」
え?何でそうなるの!?
「ご主人様はわたくしを嫌いではないとおっしゃってくれました」
「私だって『大事』って言ってくれた!!」
シナモンとフレアがお互いににらみ合う。
身長には大分差があるから姉妹げんかに見えるな…………
「あの…………取り合えず仲良くしてね?」
「頑張ります!!」
「善処します」
あ~絶対ダメなやつだ~
・・・
「シノブ!!私強くなりたいんです!!」
突然シナモンはそんなことを言い始めた。
「何で僕に言うの?」
「シノブが私の知ってる人の中では一番強いのから…………」
それならもっと適任の人がここにはいるでしょ…………
「それならフレアに聞いたらいいのに」
「フレアはダメなんです!!!」
「どうして?」
「ダメなものはダメなんです!!」
まぁシナモンがダメならダメなんだろう。
ところで当のフレアはというとルノメンの町まで食料の買い出しに行ってくれている。フレアは竜族のプリンセスなのに料理が上手だ。
どうしても肉料理が基本になってしまうのは難点だけど。
「でもフレアのステータス見たでしょ?魔法の適正だったら僕より上だと思うけど」
名前、フレア・ドラクリア
性別、女
種族、竜族
年齢、317
役職、冒険者(黒)
能力、魔法適正(広範囲+連続+高速詠唱)
魔力生産
竜化
(魔力生産、体内で無限に魔力を生産できる)
(竜化、本来の姿を解放する竜族が持つオリジナル能力。身体能力、体力、魔力等の全ステータスの上昇)
とこんな感じで魔法に関しては僕よりも上だと思う。
つまり基本魔法を使うシナモンにとってはフレアに指導してもらった方がいいのだ。
「そうですけど…………」
「私フレアには勝ちたいんです!だからフレアに指導を付けてもらうのは…………」
う~ん…………そこまでフレアにこだわる理由は分からないけど…………
「それって魔法とか戦闘じゃないとダメなの?」
「え?」
「つまり勝つのは魔法の能力じゃなくてもいいのってこと」
「僕的には強さはあんまり関係ないと思うんだけど」
「でも…………そうじゃないと私はシノブの役に立てません…………」
シナモンの視線が地面に落ちる。
つまりフレアが来て自分の居場所がなくなったって思ったのかな。
「シナモン…………」
「はい…………」
「僕がいつシナモンに役に立ってほしいって言った?」
「え?…………言ってません」
シナモンの緑色の瞳が僕を捉える。
「僕にはシナモンがフレアにそこまでこだわる理由は分からないけど僕は今シナモンがいてくれるだけで嬉しいんだよ…………そもそも強さなんて普通の生活には必要ないしね」
「シノブ…………」
あれ…………僕こんなこと思ってたんだ。
ちょっと恥ずかしいけど。
「だから強くなくてもいいんだよ。シナモンとフレア皆がいればいいよ」
「うぅぅぅ…………」
「私やっぱりシノブのことが大好きです!!」
そういってシナモンは抱き着いてきた。
よく考えればシナモンが一番僕と近い境遇にあったんだよな…………学校でいじめられて友達ができてもそれが本当に友達なのか分からない…………
でも少なくとも僕はシナモンを友達もしくはそれ以上の存在だと思ってる。
そう思った時僕は自然とシナモンの頭を撫でていた。
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