第20話 エルフの国『リフル』
翌朝、まだ日が昇り切っていない薄暗い時間帯。
僕や王国十字軍の兵士を始めとしたおよそ千人近くの兵士や冒険者たちは隊列をなして山を登っていた。
「おはようございます!シノブ様!!」
「あ、おはようございます。シモンさん」
歩いている僕に話しかけてきたのはつい最近知り合ったばかりの獣人の大男シモンさん。今回は背中に大きな斧を背負っている。
どうやらシモンさんも今回の任務に参加するみたいだ。
「シモンさん。ここからリフルまでどれくらいかかりますか?」
「そうですね…………あと一時間といったところでしょうか」
う…………
もう既に歩き出して四時間は経っているのにここから更に一時間か…………
それにしても僕たちの先を進む上級ランクの冒険者と王国十字軍の人たちは馬に乗っての移動だから涼し気な顔をしてるのが羨ましい…………
出発の時に歩きと知った時チャームを使おうとしたけどあと一歩のところで踏みとどまる。
流石に乱用は良くない…………と思う。
「シノブさん!!」
と前方から声を掛けられる。
「はい!」
返事を帰すと先頭の方から一匹の馬に跨った兵士が後退してくる。
「どうもランドールさん」
「ここから先はエルフの警戒術式が発動してる恐れがあるので私たちはここで待機します」
「分かりました」
そうか…………ここからは僕一人で行動するのか…………
「それでは何かありましたら早めにご連絡ください」
「分かりました」
これからは何が起こるか分からないからな……気を引き締めないと。
・・・
そこから更に一時間歩いて山を越えると視界には森に囲まれた建物やツリーハウスが目立つ里…………というか都市に到着した。
ここがエルフの隠れ里の『リフル』か…………大きな場所だな。
魔法に相当自信があるのか門には護衛の姿は全く見当たらなかった。
その代わり能力『魔力感知』にはとてつもない量の魔法の発動が感知された。
そして門を潜った瞬間ようやくここが隠れ里と言われる理由が分かった。
というのも門を潜ると同時にいくつもの魔法が僕にかけられた形跡が感知された。
もし僕に『魔力遮断』の能力が無かったらどうするつもりだったんだろ…………
一瞬視界が暗くなるけどすぐに視界は元通りになる。
しかし目を開くとそこに広がっている景色は外から見た『リフル』とは違っていて天井がある洞窟のような場所だった。
しかもそ目の前に立っていたエルフの顔は真っ青だ。槍を持ってるから多分ここを見張ってる兵士か何かだろうか。
「おおおおおおおお、お前なんで入ってこれるんだよ!!」
「えっと~魔法は僕には意味がないので…………」
ここは変に疑われる前に素直に話す。
「な!?そんな馬鹿な!!」
「お前さては魔族だな!?」
「でないと『試練の魔陣』を一瞬で打ち消せるわけがない!!」
あ~これは『チャーム』の出番かも…………
僕はすかさずローブのフードを取り『チャーム』を発動させた。
最近になって『チャーム』を発動するとき意識を集中させるだけで能力は発動するようになった。
前みたいにあからさまに色気を使わなくてするから恥ずかしさはだいぶなくなったけど、それでも少し抵抗はするんだよね。
そこからはとんとん拍子で一瞬でエルフの長に謁見できてしまった。
やっぱり最強の能力は『チャーム』だね…………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます