第5話 初の戦闘
(戦うのはいいんですけど、僕ってどうやって戦えばいいんですか?)
『そうね…………一応『魔法適正』もつけておいたから魔法は使えるけど…………』
(使えるけど?)
『体内にある魔力を全部使ってしまうと動けなくなるわ。だから今のシノブはまだ魔法を使わない方がいいわね』
つまり無闇に魔法を使うと力が出なくなるってことかな。
(それじゃあ何で戦うんですか?)
『体術ね!(グッ!!)』
いや、グッ!じゃないから!
(僕そんな体術なんて使ったことありませんよ!?)
『大丈夫!殴る蹴るくらいならできるでしょ?それに身体能力ならこの世界でも1,2の実力なんだから!』
(わ、分かりましたよ……)
正直に言うと信じれられないんだよな~
だってこんな小さな女の子の体で最強って言われても…………
それに殴る蹴るの動作だってやった事がないんだし。
まぁ実際にやってみないと分からないか。何事も経験だ。
・・・
それからどのくらい森を進んだだろうか。
あたりはもうすっかり日が落ちてしまっていた。
(神様?もうこのあたりも暗くなってきませんでしたか?)
『そうね、でもあなたにとっては問題ないでしょう?』
(まあそうですけど…………)
というのも獣人は周辺が暗くてもハッキリと視界が見えるのだ。流石は獣と名前に着くだけのことはある。
それに耳も良くなってすごく小さな音でも捕らえることができる。
『それに魔物が活発に動き出すのは夜だから』
(そうなんです…………)
と、話してると丁度能力の『気配感知』に反応があった。
キシャァァァァァァァァァァ!!!!
『きゃああああ!!!!!』
「わあああああ!!!!!」
姿を現したのは大きなカマキリみたいな魔物だった。
僕は真っ先にその魔物から距離を取る。
『ちょっと!!シノブ!!何逃げてんのよ!!』
「そりゃ逃げますよ!あんなもの見たら!!」
それに神様の叫び声が頭の中でキンキンと響いている。
『あんた凄い力あるのよ!』
「大体それって本当なんですか!?」
『本当よ!信じなさい!!』
「ああ~もう!!分かりましたよ!!」
僕は逃げるのをやめて体の向きを変える。
そして真っすぐ先に真っ赤な目をギラつかせて迫ってくるカマキリ型の魔物をとらえた。
僕は小さな拳にめいっぱいの力を込める。そして勢い良く踏み込んだ。
「うりゃああああ!!!」
可愛い女の子の体には似合わない大きな声で飛び出す。
体が加速。
そして力を込めた右手の拳がカマキリ型の魔物の腹部に丁度めり込んだ。
ギュゥェェェェェェェ!!!!
そのまま魔物の体が爆ぜる。緑色の血が少し体に付いた。
(うわ…………本当に強い…………)
『だから言ったでしょ!』
そんなことを話していると魔物の残骸の中から野球ボールくらいの赤い球体が姿をあらわす。
(神様?これって何ですか?)
僕はその赤い球体を拾い上げてまじまじと観察する。
『これは魔石よ。これを換金してお金にするの』
『その魔石の大きさによってお金の金額も変わってくるわ』
大きければ大きいほど値段が高くて小さければ安いってことか。
(この大きさって魔石の中でも大きい方なんですか?)
『どうだろう?私も詳しいことは分からないわ』
(そ、そうですか…………)
でも倒せただけいいか…………
とりあえず今は異世界でのはじめての戦闘に見事勝利できた嬉しさの方が大きかった。
『それに魔物を倒していくごとに能力の熟練度が上昇していくわ』
熟練度?
(それが上昇していくとどうなるんですか?)
『能力が進化したり新しい技能が得られるの』
へ~そうなんだ。
(神様、この世界にはレベルって存在するんですか?)
熟練度と呼ばれるものがあるんだったらレベルの制度も存在するのだろうか。
『レベルは存在しないわ。全部熟練度によって決まるのよ』
『シノブの場合は基礎となる部分が強いから最初は問題ないと思うけどそれでも熟練度は大事になってくるわ』
なるほど……大まかなレベル制度が無い分熟練度による経験が強さに繋がっていくのか……
確かにこの体は強かった。だけどいつかは熟練度の少しの差が命取りになると思う。だから早めに熟練度を上げることを意識するべきだな。
ステータス
名前、シノブ
性別、女
種族、獣人
年齢、10
能力、気配遮断+3
気配遮断
限界突破
魔法適正
剛腕+10
魔力遮断
チャーム
念話
(念話、シノブが神様と会話するときに発動するオリジナル能力)
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