第4話 異世界のシノブは可愛いようです

 結局あの後から神様は全く反応しなくなった。


 そんな中僕は暫く森の中を散策した。

 鳥のさえずりも長くなった白い髪を揺らす風もすべてが本物みたいだ。

 というか本物だ。

 ここに来てようやく僕は生まれ変わったことを実感した。

 歩幅が小さくなったから歩く感覚が少しおかしい。それに裸足だから草が足の裏に当たってくすぐったい。


 そもそも僕はこの世界に転生してきて以来自分の顔を見たことがない。

 女の子になった自覚はあるけど…………自分の顔を知らないのはちょっと怖いし。


 それにしても結構な距離を歩いたのに今でも僕の体はすこぶる元気だ。少し変化した点と言えばのどが渇いたってことだろうか。


 これが神様の言っていた高ステータスのおかげなのかな。


 僕はそんなことを考えながら時々目に入る長い髪をかき上げつつ森の中を歩いた。



 まずは水辺でも探すか…………







・・・


 それから数分か数時間か森をさまよっていると開けた場所に出た。さらにその開けた場所には池のようなものが存在していた。


 僕は渇いた喉を潤すために真っすぐに池へと向かった。


 その水は凄く透明で透き通っていて池の底が見えるくらいだ。


 そして水を口に含もうとしゃがみ込んだ時、僕の顔が水辺に反射して映り込んだ。


 これが僕の顔…………


 そこに映るのは真っ白な髪、青色の瞳に整った可愛らしい顔の少女…………というか女の子だ。


 しっかりと頭の上からは髪と同じ色の白い毛並みの耳が生えていた。


(神様、これが僕ですか?)


『ええ、そうよ!!凄く可愛いでしょ!!』


(は、はい…………)


 素直に可愛いそう思ってしまった。

 それにこの神様に負かされたと思うと少し悔しいと思うのはどうしてだろうか…………


『そでしょ!そうでしょ!!』


(でも…………何だか違和感しかないですよ。いじめられっ子の僕がこんな…………)


『ねえシノブ』


(はい?)


『もうここはあなたの知ってる世界じゃないのよ?もう忘れればいいじゃない。それが今のあなたの体で好きなように生きなさい』


(はい…………)


 こういうところで的確過ぎるアドバイスを送ってくれる辺りは流石神様だと思う。まぁ今では元神様だけど。


 よし!

 これからどうしようかな…………


 まずは服なんだけど…………そのためにはお金だよな…………。


(神様、ちょっといいですか?)


『どうしたの?シノブ』


(この世界のお金ってどんなものなんですか?)


『そうね…………大きく分けて三つ。金貨、銀貨、銅貨ね。銅貨100枚で銀貨一枚、銀貨100枚で金貨一枚分ね』


 なるほど…………金貨の価値が一番高いのか。


(じゃあこの世界ではどうやってお金を稼ぐんですか?)


『う~ん。でも案外稼ぐ方法は沢山あるわよ?例えば冒険者なんか魔物を倒して換金するだけでお金が入るわよ?』


 え?


(か、神様?この世界には魔物がいるんですか?)


『何よ今更。あなたが獣人である時点で色々な種族がいることは分かるでしょ?』


(た、確かに…………)

(ちなみに今の僕でも魔物って倒せるものなんですか?)


『ええ!他の神様の力も全部そそぎ込んだからどんな魔物でもちょちょいのチョイよ!!』


(そ、そうですか…………)


 他の9人の神様には申し訳ないと思うけど、こうなった以上はしょうがない。


 じゃあまずは魔物を倒してお金稼ぎか。







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