森での生活編
第3話 森でのはじめの一歩
目を覚ますとそこは森の中だった。
木々の隙間から差し込む光が眩しい。
体の感覚がある。
音が凄く敏感に聞こえる。
久々の体の感覚は凄く新鮮だ。
僕は体を起こした。すると視界の中に丁度腰のあたりから真っ白な毛並みのしっぽが目に入る。ふさふさな大きめのしっぽ。動物で言えば…………狐だろうか。
しかもそのしっぽと同じ白色の髪が腰のあたりまで伸びている。手も小さくて綺麗だ。
ここに来てようやく自分が女になったことを実感した。というのも少しだけ胸に膨らみがあり…………そこからは想像にお任せします。
『なによ、シノブそんなにそわそわして』
!?
「え?神様!?」
「あ、女の子の声だ。綺麗な声というより…………可愛い声?」
そういえば神様、僕の体を10歳の女の子にしたんだっけ…………
『ええ!可愛い声でしょ?見た目も見た瞬間にビックリするわよ?』
「それよりどうして神様のあなたと僕が普通に会話で来てるんですか…………」
『えっと~』
突然神様の声が詰まる。
「神様?」
『私ついさっき神様の権利を剥奪されたのよ(笑)』
「……」
『ちょっと!!なに黙ってるのよ!!』
「いえ、ただ心配を通り越して呆れてるだけですから」
そもそも神様の権利って剥奪されるんだ……
『何よ!私が神様の権利を剥奪された原因はシノブにもあるのよ?』
「はい?どうして僕に!?」
急に僕にも責任があると言われ焦る。
『あなたに凄いステータスを与えたでしょ?それは神様の世界の全部の力を使って実現させたの!!(ドヤァ)』
「ドヤァじゃないですから!!でも…………僕のせいなんですよね…………すみません」
『いやいや気にしないで!私だってあんな世界から早く消えたかったから丁度良かったのよ。それに今頃は他の神様は力がなくなって大騒ぎよ?いい気味だわ』
「そうですか、それならいいんですけど」
『ええ!あと私のことはもう神様なんて呼ばなくていいから!』
「じゃあ何て呼べばいいですか?」
『そうね~…………何がいいかしら?』
「質問を質問で返さないでください!!」
「何でもいいのなら神様のままでもいいですね?」
『う~ん…………まあしょうがないわね』
はぁ~
僕は内心ため息をついてから立ち上がった。目線が高校生だった頃よりはるかに低くなったように感じる。女の子だからこんなもんなんだと思う。
「神様、これからどうしますか?」
『そうね、まず服をどうにかしたら?いつまでもそんな布切れ一枚なんて恥ずかしいでしょ?』
た、確かに…………
服は灰色の布切れ一枚。綺麗な服とはお世辞でも言えない。
(そもそもこの世界ってどんな世界なんだろ…………)
『この世界はシノブが今まで住んでた世界で言うファンタジーのような世界よ』
「神様僕の考えが読めるんですね…………」
言われてみればさっきも僕が思ってたことに対して答えてくれたし。
今まで人と話すときは声を出してから自然と神様と話すときも声を出してたけどどうやら声を出さなくても神様とは会話できるみたい。
まぁ声を出して話すことが本当は常識なんだけどね!?
『ええ、あなたの考えはバッチリわかるわよ!』
(そういう事は早めに言ってください…………)
人に見られてなくてよかったけど一人でべらべらとしゃべってる姿は恥ずかしい。
『ごめんごめん。それじゃあまず町を目指しましょう』
(ちょっと待ってください!そもそもお金が無いから服も買えませんよね?)
『…………』
あ、黙った…………ってことは完全に忘れてたんだな。
(改めてどうしますか)
『なんでも私を頼らないで!!シノブで何とかしてみなさい!!』
あ、拗ねた。
(分かりました…………一人でどうにかしてみますよ)
『え、ええ。何か気になったことがあったら呼びなさい』
(どっちなんですか?さっきから『頼らないで』って言ったと思えば『呼びなさい』って言って矛盾してますよ?)
『…………』
また黙った。
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