第2話 僕の名前はシノブ
(どういうことですか?)
僕は頭の中でそう呟いた。
そもそも体の感覚や視界がない以上頭という概念も存在しないんだけどね。
「言葉のままの意味よ?私があなたを生まれかえさせてあげる」
(そんなことができるんですか?)
「ええ。私の力があればどんなイケメンにでも…………」
「おい出来損ないの神!!さっさと終わらせて俺たちの肩を揉めよ!!」
と神様が僕と話してる最中に別の男の声が割り込んできた。
「はい!すぐに参ります!!」
神様は愛想よく振舞ってるみたいだ。
まさにこき使われてるように……
(…………)
「……」
(もしかして…………神様も別の神様にいじめを?)
「うううぅ…………」
涙声が俺の頭の中に響き渡る。どうやら神様の世界『天界』にもいじめがあって今こうして僕と話してる神様はその被害者だ。
(神様の世界にも色々とあるんですね…………)
「悪かったわね!!」
少し安心した。いじめは万国共通どころか神様たちが暮す天界にまで存在するなんて思いもしなかったけど人間だけが受けているものでもないってことが分かって良かった。
それに、
(そんなことないですよ)
「え?」
(だって神様もいじめを受けてるってことはその分同じ境遇の人に親身になって見守れるってことですよね?少なくとも僕は親近感がわきました)
天界の素性は知らないけど神様と言えば人々を見守るポジションにあるはず。だから同じ境遇だからこそ人間の気持ちになって考えられるはず…………多分。
「……」
(あの~神様?)
「あんた…………いいこと言うわね」
(そ、それはどうも…………)
うん……嬉しいような嬉しくないような……
すると神様は今までのテンションからガラリと変わってとても元気な声になる。
「よし!私も頑張るわ!!手始めに忍!あなたよ」
(はい?)
なんで急にテンション変わるの!?
「私があなたを最高の人間に生まれ返らせてあげる!大船に乗ったつもりでいなさい!!」
(は、はい…………)
正直ちょっと心配なんだよな…………
するとそのままの雰囲気で僕が転生すること前提で話が進み始めた。
「じゃあまずは性別からね」
(え?そんなところから選ぶんですか?)
僕は生まれ変わると言えば『じゃあ次の世界に行ってらっしゃい~』みたいに簡単に決まるものかと…………
「そうよ?何かゲームのキャラ設定みたいで面白いでしょ?」
うわ~凄く心配になってきた~
神様ってこんな楽しみながら人を生み出してたのか~
他の神様も同様、こんなに簡単に人を生み出していたのなら悲しい話だ。現世で宗教ごとに崇拝してる人たちが聞いたらがっかりだろうな。
「男か女かそれとも半分か!」
(あんたいつの時代の神様だよ!てか少なくと半分は絶対にやめてくれ!!!)
こんなしょうもない小学生のいたずらまでやってくるし…………
「ええ~お似合いだと思ったのに~」
何考えてんだよ…………このクソ神様が!!
「じゃあ~女の子で~。あ、心配しないで顔は凄く可愛くしておくから!!」
すみません…………僕には不安しかありません!!!
「髪は最近のトレンドだと白とか銀が人気なんだけどどうかしら?」
「年齢も可愛さを際立たせるために10歳なんていいんじゃないかな~」
(もう好きにしてください…………)
「そう?じゃあ好きにさせてもらうわね」
それからどれくらいの時間が経っただろうか。神様は俺の容姿とか能力(ステータス)を勝手に決めていった。完璧にゲームのキャラメイクみたいだった…………
そして完成した結果がこれだ。
名前、シノブ
性別、女
種族、獣人
年齢、10
能力、気配感知
気配遮断
限界突破
魔法適正
剛腕
魔力遮断
チャーム
(限界突破、一時的に魔力、身体能力を三倍にまで上昇させることができる)
(魔力遮断、あらゆる魔法攻撃の効果を受けない)
(チャーム、意思のある特定の相手を魅了する)
「どうかしら?」
(どうかしら?と言われましても…………これが凄いのかすらわかんないです)
「凄いってもんじゃないわよ!もう最強よ!魔王よ!悪魔よ!覇者よ!」
(すいません…………二つ目から凄く物騒なんですけど…………)
(それに獣人って何ですか?)
「ん~半分獣、半分人間みたいなものかしら」
(普通の人間は無かったんですか?)
せめて普通の人間が良かった…………僕だって得体のしれないものになるのは不安なのだ。
「ごめんなさい、こればかりは私でも決められないことなの。でもシノブは運がいいのよ?」
(どうしてですか?)
「もし運が悪かったら強いステータスを持ってるのに種族が虫だったりするのよ」
(なるほど…………そう考えれば僕は運がいいですね)
「でしょ!それじゃあシノブを次の世界に転生させるわね」
(は、はい…………)
いよいよ本当に僕は生まれ変わるみたいだ。楽しみとまではいかないけど次こそはいじめられずに平和な意を過ごしたいと思う。
そうなんて事のない普通の生活。
そんなことを考えてると徐々に意識が薄れていった。
こうして僕は三条川忍から女の獣人シノブに転生したのだった。
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