妊婦の体重管理は仁義なき戦い

御剣ひかる

なぜそのタイミングなのだ!?

 カクヨム3周年記念選手権が盛り上がっておりますね。

 今回のお題が「ルール」ということで、ふと思い出したのが妊婦時代の体重管理についてだったので、こうしてエッセイにしてみました。

 考えてみたらカクヨムさんでエッセイ書くのは初めてです。ちょっと緊張します(笑)。


 さて、産婦人科から言い渡される体重管理についての前に、そこまでに至るわたしの状態を少しだけ説明します。


 妊娠には初期、中期、後期とあります。

 妊娠周期で換算して4か月(15週)までが前期、5か月から7か月(16週から27週)までが中期、6か月から10か月(28週から40週)までが後期となっています。もちろん産まれるのが遅くなると41週以降に突入ということもありますが、胎児や母体の健康を考えて帝王切開ということもあるようです。


 わたしは妊娠初期のつわりがひどく、妊娠発覚から2週間で体重が5キロ落ち、1か月でさらに7キロ落ちてしまいました。

 それはもう、食べても飲んでも戻す、食べなくても飲まなくても戻す、というまずい状態でした。

 それでもなんとかだましだまし、その時大丈夫なものを口にしてしのいでいました。

 食べることが大好きなわたしが、食が怖いという貴重な、でももう二度としたくない経験をしました。


 そんな苦行を乗り越えて、妊娠中期の半ばあたり、6か月あたりになってくるとようやくつわりも収まり、今度は食欲がわいてきました。ちょうど秋から冬へと移り、あったかいものが美味しい季節でした。

 そこで産婦人科から、体重管理をきっちりとしましょう! とお達しが出ます。

 妊娠中期は4週間に一度の検診です。この間で1キロ増えるぐらいに抑えましょう、と具体的な数値も提示されました。

 4週間で1キロって太りすぎじゃない? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、妊娠で増えるのは胎児の体重だけでなく、羊水や胎盤の重さもあるので、ちょっと食べるとたやすく1キロ以上体重が増えてしまうのです。


 今度は、食べたいのにたっぷり食べられないというジレンマとの戦いです。なにせ食事好きのわたしが数か月にわたって物を食べられない状態が続いたものですから、その反動たるやすさまじいものがあります。

 でも体重が増えすぎると妊娠中毒症などの怖い状態になってしまいます。ここは我慢なのです。

 あ、もちろん、食べる量の調節だけでなく、栄養のバランスを考えねばなりませんし、食べなさ過ぎも問題なのですよ。太っちゃいけない、ということばかりに気を取られちゃいけないのです。


 そろそろ妊娠後期に差し掛かってきて、里帰りをしました。

 両親は初孫誕生前とあっていろいろと気を使ってくれて、旦那含めて歓待してくれました。


 ここで、事件勃発です!

 次の日に検診がある、という金曜日の夜、母が焼肉をふるまってくれました。

 これがもう、すごくいいお肉で、とてもおいしかったのです!

 しかし次の日が検診です。ここで体重を増やしてしまうわけにはいきません。

 そこでわたしは、お肉は3切まで、と決めました。あとはひたすらお野菜です。

 わたしが涙をのみ(笑)、野菜ばかりを食べる隣で、旦那は両親に勧められるままに高級なお肉をしこたま美味しそうに食べていました。


 えぇ、判っていますとも。

 旦那にとってわたしの両親は義理の親。気を使うわけですよ。食べてねと言われたら遠慮できないのですよ。

 それでも美味しそうにぱくぱくと食べる旦那に、殺意に近いものを覚えましたね。

 あと、検診前日に高級な食事を出した母にも。どうせなら検診終わった日にしてよ!(笑)


 心の中で悶々としながら野菜をつつくわたしに母が言いました。

「もっとお肉食べないの?」

 誘惑するなー!


 次の日、見事体重増加を範囲内におさめてほめられましたが、……高級焼肉、食べたかった……。

 この無念は、子供を出産してやっと普通に食べられるとなっても忘れることはありませんでした。

 恐るべし食の記憶。

 食い物の恨みは恐ろしいとは、よく言ったものです。


 ちなみに、二人目の時も似たようなことがありましたが、もうあきらめの境地でした(笑)。


 食のことは一例で、妊婦はいろいろと大変なのです。

 どう大変なのか、他の実体験はまた機会があれば書けたらいいなと思ってます。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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