三月二十日
昼に、相手の保険会社担当から電話があった。
「車の修理は急ぎますか」
という問いかけがあったので、
「過失ゼロということであれば、すぐにでもお願いしたい。過失割合次第で修理内容が変わるし、現時点で走行に支障はないので、まずは過失の有無をはっきりしていただきたい。こちらはないと思うが」
と申し上げた。
その日は別件もあり、話している時間が取れなかったので、当方から以下の二点のみ確認する。
① この過失の有無の確認は、相手である中年女性の意向によるものか。
② 現時点での争点はどこにあるのか。
保険会社の回答は以下の通り。
① 過失の有無の確認は、保険会社の担当者としてやっていることである。
② 担当者としては「駐車場のそばで左によって停車したのであれば、その後に駐車するための行動が伴われることは予測できたはずであるから、その点は過失ではないか」と考えている。
とりあえずその時は、
「そう考えるのは自由だが、それでは論理として納得できない」
と回答して、電話を切った。
*
「保険会社のプロとしての意見」ということなので、真面目に考えてみる。
「駐車場のそばで左側に寄って停車した」
というのは、自動車運転教習の教本に従えば、
「前進左折するために、巻き込み防止の目的で左側に寄った」
と考えるのが妥当だろう。あるいは、
「右側から大型車が来たので、衝突防止のために左側に寄った」
と考えるのが普通ではないかと思う。
いずれにしても「前進」の意思表示でしかない。
せめて左のウインカーを点灯させていれば「停車」の可能性が考えられるし、ハザード・ランプを点灯させていれば、「後退」の可能性を考慮に入れることもできたかもしれない。しかし、今回はそのいずれの合図もなかった。
あくまで「後退の合図だ」と主張するのであれば、それを示唆する文献等の文字資料を提示して欲しいところである。
続いて、車の間隔について考えてみる。
前の車の種類から、車幅が一.八メートル以上であることは調べた。その車が後退しながら頭を右に振って、右側後方側面のバンパーを、私の車のバンパーの左側前方前面に衝突させたわけであるから、少なくとも車幅以上の間隔が開いていたことになる。
(意味がよく分からない方は、状況をミニカーで検証してみれば理解できると思う)
個人的には二メートルは開いていないとおかしいように思うが、相手に有利に考えて、最低でも一.八メートルは車間が開いていたとする。大人一人分だ。
道路交通法には「最低でも開けなければならない車間距離」の規定はない。
自動車教習で学ぶ「車一台分」というのは、あくまでも安全距離であって法定ではない。
また、自動車教習を例に出すのであれば、検定試験で減点となるのは、車間距離が一.五メートル未満の場合らしい。(これは未確認情報)
ということであれば、私の車間距離が非常識とはいえないように思う。仮にこれが非常識であるならば、都心の路線バスはすべて非常識だろう。
私の対応で問題があったとすれば、むしろ、
「クラクションを使用しなかった」
という点ではないかと思う。
相手に対して警告の意思を示さなかった点を問題にされた場合には弱い。
いまのところ、この点についての対応手段は思い浮かばない。クラクションというのはそのための道具であるから、使わなかったほうが悪い。
ともかく、次の連絡を待つことにする。
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