第8話 デパート
初めて出会ったのは、デパートのショーウィンドウだった。君はキラキラと目を輝かせて、僕を見つめていた。
誕生日。君の家族の一員となった。君は嬉しそうに「よろしくね」と笑った。
「君は今日からナルちゃんね」
と言った。なんでナルちゃんなんだろうと思ったら「なるしすと、って。自分が好きな人の事なんだって。ナルちゃん良い子だから、自分を好きになってもらいたいのよ」と笑った。ナルシスト、か。ちょっと意味が違う気がするけど、君がつけてくれた名前、大切にするよ。
オトウサン、オカアサンが騒いている時。君は僕をぎゅっと抱きしめながら、涙を一生懸命我慢していた。僕がぬいぐるみじゃなかったら、こんな時君を抱きしめてあげられるのに。そう思って手を伸ばしても、君を抱きしめることすらできなくて。そんな僕の気持ちを察したのか、君はぎゅっと手を握ってくれて。「大丈夫、泣かないの、泣かないの」と笑っていた。……泣きたいのは、君の方だろうに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます