第2話 カウンセラー
名前を呼ばれて入るとまるでおとぎの国に迷い込んだようだった。建物の外観はごくありふれたコンクリートの建物なのに、その中は木の壁、木のテーブル、木のベッド。暖炉に、カゴに入れられた果物、所々に飾られた季節感がバラバラの花達が私を迎え入れてくれた。
「失礼しま……ひぁ!?」
部屋に入るやいなや、足にまとわりついてくる黒猫が「にゃあ」と擦り寄ってきた。
「初めまして、月城さん。カウンセラーの成瀬です」
そう言って、その男性はにこりと笑った。私にはその笑顔が胡散臭く見えて、少し離れた位置の椅子に腰掛けた。猫が抱っこして欲しそうにするので抱っこすると嬉しそうに体を預けてきた。
「珍しいですね。人に懐くのを初めて見ました」
かなり人懐っこいと思うけれど。
先生は私の方に向き直る。
「本題に入りましょうか。俺と恋愛ごっこしましょう」
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