好きになってはいけません!

第1話 レンアイ

「恋愛……ね」

 私はさっきまで読んでいた本をパタンと閉じた。小説を読むことが好きな私は、時間があれば本を読んでいた。本は良い。自分が体験したことのない世界へ連れて行ってくれる。


 本を読んでいて物語の世界に没頭してしまうことがよくある。登場人物に感情移入してしまい涙することもよくある。けれど恋愛が絡むと、全く感情移入できない。主人公の女の子は自然と彼を好きになる。まず「なぜ好きになったのか」よく分からない。いきなり「好き」から始まる物語についていけず、理解できなくて身が入らず、そこで読むのを断念してしまう。だから私は恋愛小説を避けた。


「……知りたいな」

 好きという感情を、恋愛がどういうものなのかを。私は分かりたいと思った。

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