第3話 天変地異の予兆

「おう、死ねやカス」


「.....豪速球ってか.....直球だなお前」


「当たり前だろ。何だそれは?そんなラブコメの様な.....有り得ないだろ。この現実世界で。ふざけるなボケナス。しかも好かれてんのか?殺すぞ」


何を言ってんだ。

って言うか.....そこまで言うかコイツ.....。

俺の通っている県立の南華高校クラスにて、一緒にこの高校に通っている友人の狭山佑太郎(さやまゆうたろう){彼女無し}にその様に言われた。

コイツ、中指まで立てている。


佑太郎の顔立ちは少々の痩せ気味。

黒髪のクルクル天然パーマ、オタク、そばかすが特徴の眼鏡男子。

東京の秋葉に年に40回も行く俺との約束を頻繁にすっぽかしながらも.....まあ許し難いけど。

それは置いて置きながら優しく、良い奴なのだ。

だから許してしまう。


「まぁでも俺は二次元を愛しているから別に良いけどな」


「アハハ、ひがみか?」


「おう。殺すぞクソッタレ?ひがみじゃねーよ」


「やれるもんならやってみやがれコラ」


他から見たら喧嘩に見えるかも知れないけど。

アァン?と睨み合う、俺達。

だが、暫くして俺達はブッと吹き出した。

それからまあ良かったんじゃね?と俺を見つめてくる佑太郎。


「その勢いで告白して童貞も卒業したら良いんじゃねーか?」


「馬鹿な事を言うな。.....でも有難うな。佑太郎」


「ははっ。気にすんな」


口角を上げる、佑太郎。

俺もその顔に応える為に柔和になる。

するとタイミングでメッセージが届いた。


俺はスマホを見る。

覗き込んでくる佑太郎。

そこにはメッセージが届いておりこう書かれていた。


(日曜日、凄く楽しみだね♪私、頑張って勉強するからね。佐賀くんも頑張ってね)


その様なメッセージで、写真も添えられていた。

かなり丁寧に組まれた何らかの予定表を映して、だ。

俺はそれを赤面で見つめる。

どうやら.....デートの予定表の様だ。

赤面せずに居られない。


どうやら.....マジに楽しみの様だ。

俺は頬を掻きながら.....

すると横で見ていた佑太郎がハッハッハと笑って俺を黒のオーラを吹き出しながら見てきた。

メラメラ血の涙を流す。

ラブラブだな!と怒りながら、だ。


「.....貴公は我らの敵となった。その首を頂戴する!!!!!」


カッターを振り回しやがった!

コイツ!!!!!

俺は直ぐに佑太郎からカッターを取り上げる。


「さっきと言っている事が違うじゃねーか!テメェ!!!!!」


「当たり前だろ!!!!!何なんだ?マジで。日本全国の童貞に謝れコラ!!!!!ラブラブカップルさんヨォ?ファッキ◯グキ◯ユー!!!!!」


そして争っているとチャイムが鳴った。

よし、戻るか。

思いながら.....佑太郎から逃げる様に俺は手を挙げた。

それから逃走する。


「チッ。逃げたか.....あの御仁.....」


何時まで武士のままで居るつもりだアイツ。

思いながら俺は苦笑して席に座る。

するとライ○が鳴った。


どうせ宣伝とかだろとウザく思いながら俺はスマホを見る事は無く。

って言うか時間が無かった。

そして授業を受ける。



その○インを無視して昼休み。

唐突にサイレンの様にスマホの電話が鳴り響いた。

俺は!?を浮かべながらスマホを取り出す。


「何だ!?」


まさかの事に俺は驚愕する。

側でコロッケパンを食っていた佑太郎もビックリしてコロッケを落とした。

そして慌てて拾いながら.....息を吹きかけている。


俺はそれを見ながら、母さんか?、と思ってスマホを見る。

だけど信じられない名前が有った。

絶対に掛かってくる事は無い人物からの電話だったのだ。

夏帆だ。

え?有り得ないんだが.....?


「.....珍しいな?義妹ちゃんからの電話って」


「.....どういう事だと思う?佑太郎」


「.....知るかよ.....お前。コロッケ返せよ。マジに。埃まみれで食えねぇ」


涙目の佑太郎。

いやいや、コロッケは今はどうでも良いだろう。

と思いながらも言えなかった。

喧しくなりそうだったので、だ。

俺は鳴るスマホを見ながら眉を顰めつつも電話に出る。

怒号が聞こえてきた。


『.....アンタ。何で◯イン無視したの?』


「.....あ?何だそりゃ.....」


『ハァ?あ?じゃ無いわよ。舐めた様な口をしないでくれる?灰と幻想。.....3巻が抜けていたって文句言ってんだけど』


数秒考えた。

それから.....愕然として聞く。

だって.....コイツが◯インとか有り得ない!

俺に対してだぞ!?

無いわ!


「.....お、お前が、ライ○をくれたのか!?」


マジに唖然とする。

信じられないと思いながらスマホをスピーカーモードにして直ぐにラ◯ンを見る。

そこには確かに8回ラ◯ンのメッセージが届いている。

そんなに送ったのかよ。

と思いながら聞いた。


「.....お前.....八回も送るなよ。何?俺を好きなったの?」


俺は冗談で送ったのだが。

相手は冗談に聞こえなかった様だ。

大声で俺に話してきた。

祐太朗がまた驚愕するぐらいに。


『.....ハァ?.....キモッ!.....えっと.....死ねクソッタレ!!!!!』


今日は死ねをよく言われる。

俺はその様に額に手を添えて思いながら佑太郎を見る。

コロッケパンを奢れよ今度。

的な感じでコロッケパンを指差していた。

俺はそれをスルーで話す。


「.....ハァ.....とにかく3巻が欲しいんだな?家帰ったら貸してやるから」


『.....そう。それで良いんだけど。キモい事言わないでくれる?』


「.....冗談だと言う事が分からんのかお前は」


『分かる訳無いでしょ。アホ極まりないね。アンタ。死ねよ』


また死ねを頂戴しましたー。

思いつつ電話切るぞ。

と俺は話して電話を切った。

だから夏帆が嫌いなんだよな。

でも何か最近の夏帆はおかしい。


「.....義妹ちゃんがお前に電話掛けてくる事自体が珍しいよな?」


「.....そうだな。確かに。明日は暴風雨にでもなるわ。多分」


俺は頭をボリボリ掻く。

だがこれは序章に過ぎなかった。

全ての歯車が狂い始める。

その序章に、だ。

それに早めに.....気が付けば良かったのだが.....。

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