手作り

勝利だギューちゃん

第1話

「38度か・・・」

私は、今風邪をひいて、学校を休んでいる。

熱が、38度もある。


病気を殆どした事のない私なので、38度の熱は生まれて初めてだ。

「こんなにも、しんどいものなのか・・・」

私は、健康のありがたみを知った。


「あっ、お兄ちゃん」

私は、お兄ちゃんの事が気になった。

「大丈夫かな・・・お兄ちゃん」


両親は出張中で、今はお兄ちゃんと2人で暮らしている。

お兄ちゃんは、家事は何も出来ない。

私がいなくなれば、どうなるのだろう・・・

その事が、頭をよぎった。


お兄ちゃんの心配をしている時ではないのだが・・・


「もう少し寝よう」

私は薬を飲んで、寝る事にした。



数時間して、目が覚めた。


「あれ、おじやの匂いがする」

枕元に、おじやと水が置いてあった。


誰かな・・・お兄ちゃんでないのは確か・・・


一口すすってみた。

「不味い」

思わず吐き出しそうになった。


そこへ、お兄ちゃんがノックをして、入ってきた。

「大丈夫か?レトルトだけどおじやを作ったから、食べなさい」


お兄ちゃんの、手をみると、とても傷んでいた。

絆創膏がいたいたしく貼られている。

やけどの跡もあった。


間違いない。このおじやはお兄ちゃんが、作ってくれた。


「お兄ちゃん、ありがとう。私、早く元気になるからね」

私は、お兄ちゃんの心が嬉しかった。


「不味ければ、残していいんだぞ。たく、最近のレトルトは・・・」


隠さなくてもいいよ。お兄ちゃん。

私は、お兄ちゃんの妹で良かったと、感じた。

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手作り 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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