第13話

ギルドの扉を蹴りでこじ開けて受付の後ろにある部屋に飛び込む

その状況を見ていた冒険者達が呆然としている


「治療を開始する。シュナ手伝って」

「はい、第1魔法陣展開」


床に魔法陣を展開してリアを中心に置いて2人で詠唱する


「「我と契約せし精霊よ、契約を持って我が願いを叶えたまえ」」


魔法陣が光始めリアを包み込み傷を癒し始める

どんどん傷は癒え血は戻っていく

魔法陣から光が消えた時2人は疲れ座り込む


「なかなかきついなぁ」

「当然、これは人が使える魔法じゃない」

「私はもう人では無いけどね」


しばらくするとリアが目を覚まして立ち上がる


「あれ?ここは?」

「やあ、起きたね」

「疲れた……本当に死ぬ直前だったみたい」

「傷に応じて魔力の量は変わるからね、あの怪物は全員殺したから心配ないよ。なんであんな奥まで?」

「奥に行った理由は魔物が少なくて違和感を感じて行ったらあの怪物に逃げ場を封じられて」


ルエの問いにリアは答える

(ほうほう、魔物が少なかった……気にしてなかったけど調べておこうかな?)

ルエはそう考えてソファーに寝転がる


「客の前だよ?」

「いいの、疲れたから、あぁ、そろそろ彼女来るんじゃないかな? 待ってれば?」


叱るシュナに眠たそうにあくびをして答えリアに未来視で見た結果を教える

(まぁ、死んだ後の話だけど)

リアは一礼して部屋を出て行く


「それは未来視の結果?」

「前のだけどね。まぁ、ここは変わらないよ……念の為にもう一度未来視しておこうかな?」


ルエは目を閉じて未来を見る

さまざまな未来が見え人が死ぬ未来や人が生まれる未来などを一瞥して目の前にある景色を掴むとそこにはリアと鍛治師の少女が映った未来が見えた

無事に武器を貰っているようだ

目を開けて立ち上がり窓から外を見る


「どうしたの?」

「いや、ちょっと外が気になっただけ、そういえば未来を見ることが出来るってチャンスを与えられてると考えてたんだけど神様からすると違う?」

「未来視は感覚の発達の1つで人の域を超えた力のことでしかないと記憶しているのだけど、だから絶対不変、人が抗おうとしても不可能だと」

「へぇ、私は昔から未来を見れるって未来を変えられる力だと考えていたよ。英雄でもなければそんなことは出来ないなんて言われたこともあったけどね。そういえば君と会う前に私は未来を変えた事があったんだよ。今回変えれるって思っていたのはそれが理由」


ルエは昔話をする

戦争時に起きたちょっとした奇跡を


「未来を変えていた?どんな?」

「本当に些細な事だよ。戦争時にたった1人死ぬ筈だった人物を助けた、偶然そこに居合わせたからそう言う行動をとっただけなんだけどね」

「戦争時に兵士1人ですか。神すら見過ごしそうな事ですね」

「そう本当に偶然、それとその人さ、戦争時に死ななかったんだよ。戦争が終わった後にお礼を言いに来てたから間違いない」

「命の恩人と言うやつですね」


その人物は戦争が終わった後結婚して子供を作っていた為何処かにその人の子孫が居るかも知れないが誰だか分からない為会うことは出来ない


「まぁ、そのあとは知らないんだけど、その出来事を体験して未来を変えることはできると考えた。もちろん私が出来る範囲内の話だけどね……でも私は英雄じゃなくても出来ると証明した。それだけで私の人生には意味があった」


ルエは笑う

ルエはたったその出来事だけで自分の人生に意味があったとそう考えた

一方リアは椅子に座って待機しているとギルドの扉は壊されているので普通に入ってきた鍛治師の少女から武器を受け取る


「これが私の自信作名前は無いけど」

「ナイフ?」

「小型のナイフの形してるけど魔力でリーチを伸ばしたり威力をあげたりできるから便利な武器」

「成る程、大事に使わせてもらうよ」


2人は雑談を交わしてしばらくして別れる

ナイフの性能を試す為に掲示板で軽く依頼を受ける

『リザーベア2体とリザーウルフ3体の討伐』という依頼を受けてギルドを出る

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