第9話

「……それは依頼の報酬として?」

「そうだね、報酬としてかな?」

「……分かった、1日待って」


少女はそう言い残してギルドを飛び出す

少女を見送って受付に向かう


「リザーベアの片手」


熊の手を女性の目の前に置く

受付の女性は手に取り確認する


「間違いなくリザーベアですね。依頼は達成となります。報酬の件は話し合っているようですのでここでは無しとしてギルド貢献度を3上昇させます」

「貢献度?」

「貢献度とはギルドで受けた依頼やクエストの難易度によって貰える量が変わる物で一定以上貰うとEランクからDにDからCにという形で自動的に上がっていきます。ただ問題を起こしたりすると最低でも貢献度をいくつか剥奪されランクが落ちる可能性もあります。ちなみに冒険者の位の呼び方はランク、級どちらでも言い方は構いません」


女性に貢献度について説明を受ける


「3はどれくらい?」

「そうですね。う~ん、3は下位の中で凶暴な魔物の討伐って感じかな?」

「成る程、分かりました」


そう言ってリアは掲示板の方へ行く

(難易度高い方が早いけど敵は強い……どうしようかな?)

見て考えていると先ほどなかった新しい依頼書が貼り付けられている

内容は『リザベルとの接触』と書かれており依頼主の名前と居る場所が記されているだけで特に他には書かれていなかった


「変な依頼書、名前と場所のみでリザベルとの接触としか書かれてない……神様や魔物にそんな名前はなかったと思うからリザベルは人の名前?」


しばらく考えるが答えは出なかったので気になって依頼書を隠すように取る

その時にシドラが話しかけてくる


「よう、また受けるのか?」

「はい、また受けようと考えています」

「今日は珍しく依頼書増えてないな。……さっきも見たがあまり良いものは無かったぞ。減ってもいないようだし」


シドラの話を聞くに先ほどの依頼書には気づかなかったらしいがリアは少し怖くなり深く話を聞く


「さっき? それっていつごとですか?」

「お前がギルド内で斧をぶった切った時だからそこまで時間は経っていないぞ」

「掲示板に近づいた人は?」

「確か誰も居ないぞ。なんでそんな事を聞く?」


(完全にバレてた、ある程度の実力を持っていればあれくらいは見えるのかな?……って今それじゃない! 気付いていない? これ完全に依頼書なのに減ってないとも言ってるし誰も掲示板に近づいてないって言うし……これどうしよう?)

……なんでそんなに慌ててるの?

(神様、リザベルって知ってる?)

……知らないなぁ、人の名前?

(多分、でも掲示板に誰も近づかずこの依頼書が貼られる所を見ていない……)

……分からないなぁ~、魔法で透過や透明化魔法を使っていたかもね

(そう考えれば納得……出来ないけどまぁ、納得するかな)


「……今日はさっきので辞めておこうかな?」

「そうか、じゃあな」

「はい、さようなら」


リアはギルドを出て家に戻る

両親は仕事をしているので昼間などは家には居ない

部屋に戻り持ち出した依頼書を見る

依頼書の詳しい内容は『依頼内容リザベルとの接触 依頼主 フィルリーフ・エルレルド 場所は廃エリアの中にある古びた一軒家(入り口付近にエルレルドと書かれている看板がある)』と書かれている


「内容については何も書かれてなく報酬も書かれていない突如張り出された依頼書……謎しかない英雄譚とこれは完全に関係ないし……リザベルなんて名前は英雄譚に書かれていない勿論依頼主の名も」


寝転がり唸りながら考えるが全く思いつかずいつのまにか眠りについていた

リアはとある夢を見る


「……これで……完成……する」

「漸く……悲願……叶い……ね」


何処かの研究室だろうか、そこに2人の女性が話をしている、所々ノイズが流れ聞き取れないが聞こえる内容からして悲願である何かが完成したのだろう


「……これで漸く……世界に……ふく……を……」

「……始め……ょう……神……を……」


やはり所々話が聞こえないが何かを起こそうとしている……その2人の後ろ姿をリアは知っているような気がした


「……君に……で……はず……」


1人の女性がリアの方を向きそう言った瞬間急にリアは真っ黒な世界に落とされる

周りを見渡しても何も見えず落下する感覚に襲われて目を覚ます

まだ時間は夕方なのでそこまで時間は経っていないと考えられる

全身に汗をかいていた


「……妙に気怠い……あの夢は一体なんだろう。神が関係していて私に……で……はずってその間の言葉はなんだろう?」


考えても思い付かないだろうと考えて軽く家の外に出てただ何もせずに風に当たる


「……まずは深淵の小人の問題をどうにかしないと行けないかな? 英雄譚で出てくる中ボス敵なあの魔物を発見次第問答無用で先制攻撃で手加減無く消し去る……中ボスって言いながらも最初の敵なんだよなぁ~」


のんびりと風に当たっていると家の目の前に深淵の小人が突如現れる

(……3度目となると何とも思わないなぁ)


「神の悪戯」


指を鳴らして神の力を使って深淵の小人を絶命まで追い詰める

炎で焼かれ一度蘇っても氷漬けにされ成すすべなく深淵の小人は絶命する


「相変わらず恐ろしい力……でもこうでもしないと今の私では1人で勝てないから仕方ない、他にも何体か出たかな?」


(向かうはギルド、あそこなら情報を得られるかもしれない……今の時間は分からないけど暗くなってる……2日連続でって事は敵はこちらの情報を得られていない?)

リアは立ち上がり深呼吸して情報を得るためにギルドの方へ向かう

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