第6話
帰路を辿る最中に冒険者や兵士が忙しそうに動き回っているのを見つけ近くにいた兵士に話しかける
「どうしたんです?」
「子供に教えることじゃない」
「……怪物の出現で警戒しているのですね。それに関しては会議の際聞いていますのである程度の情報は持っています」
リアがそう言うと納得して歩を止めて話を聞いてくれる
「子供が会議に? あぁ、学園会議か。生徒会に入ってるのか?」
「まぁ、そんな感じです。それよりまた現れたのですか?」
「あぁ、2体同時にだ。城壁の外で対応している。避難しろ」
「断ります」
リアは一言そう言って城壁の外へ急ぐ
(……私なら奴のことを知っている、犠牲を最小限に抑えられるかもしれない。魔力は神の力で回復してる)
城壁の外に行くと冒険者や兵士が2体の深淵の小人と対峙している
もう何人か倒れているが息はしている
周りに木があることを確認してウッドバインドを使用して2体を縛り付ける
「なんだ!?」
「負傷者を回収してください。深淵の小人の討伐に協力します。距離を取って攻撃をしてください奴は一度だけ蘇ります」
リアの指示を聞き負傷者を抱えて距離を取ってヒーラーが回復魔法をかける
「……深淵の小人ってあの英雄譚に出てくる怪物か……お前は奴のことを深淵の小人と呼び蘇る事を何故知っている?」
槍を持った男性が近づいて話しかけてくる
「私は先程、奴と学園内にて対峙しました」
「奴の攻撃は?」
「蘇った後なら分かります。蘇った後は自分の腕をしならせて鞭のようにして攻撃してきます。食らえばひとたまりもありません。私が一度殺しますので蘇ったら高火力で再生が追いつかないレベルで叩いてください」
皆魔法の準備をしてそのタイミングまで待つ
リアは皆が魔法を準備したのを確認して木々に魔力を込めて縛り上げる
バキバキと骨の折れる音がして暫くするとぐったりと倒れこむと同時に魔力が切れ木々が戻っていく
リアが息を切らせて冒険者や兵士の後ろの方へ向かうと同時に2体は立ち上がり手を鞭のようにして襲い掛かる
「今です!」
「ファイアバレット」
「氷刃の雨」
「雷神の斧」
などと合図を出した瞬間に高火力の魔法で2体を攻撃する
一体は再生が追いつかずに倒れもう一体は再生が間に合っているようで倒れず一歩一歩リアに近づいてくる
「ウッドスピア」
近くの根っこが地面から現れ深淵の小人を刺し貫き同時に動きを封じる
「君少し退いて、ファイアサークル」
リアが急いで距離を取ると深淵の小人の周りを魔法陣が囲み一斉に炎が魔法陣から現れて深淵の小人を燃やし尽くす
再生など追いつかないほどの火力で焼き払われ真っ黒焦げになる
「巻き込まれてないね」
「危なかったですが……レベルの高い魔法使いですね。有名な貴族には居なかったような?」
「私は平民よ。まぁ、生まれ持った魔力が人の域を超えていたけどね」
(生まれ持った才能って事ね……見た目は16辺りに見えるけどもっと長寿かな?)
黒焦げになっていない方の深淵の小人に近づき見るが特におかしな所はない
「何してるの?」
「この怪物について調べても特に外見ではおかしいところないので違和感を感じて」
「……? あぁ、人為的な何かがあると思っていたのね。私が知り合いの研究者に調べてもらうよ。わかったら学園の方に連絡しておくね」
「ありがとうございます」
リアがお礼を言うと魔法で深淵の小人を持ち上げて街の方へ帰っていく
「お前のお陰で犠牲が出なかった。助かったよ」
「……兵士から話聞いて駆け付けたからその兵士にお礼言っといて、今日は疲れた」
息を整えて街に帰っていく
疲れていたせいかリアは森の中からの1つの視線に気付くことはなかった
「……」
無言でリアを含む深淵の小人を倒した集団を見ている
「あれ? 森の中で何してるんですか~? ここ危ないので帰ったほうがいいですよ」
「貴女は問題ないの?」
1人の少女がその人物に話しかけるとその人物はフードを外して無表情で聞く
その人物も少女であった
「問題ないですよ、私強いですし」
「そうですか……強いですか」
「……? そうだけど……」
突如刀で少女に斬りかかる
双剣で防ぎ弾き斬りかかる
「いきなり何するんですか? 危ないですね」
「……」
「喋らないですか、手加減はしませんよ!」
距離を取り双剣の攻撃を避けて刀を構える
双剣使いの少女は素早く接近して連続で斬りかかるが軽く避けられ反撃の刀の連続斬りを間一髪のところで双剣で刀を防ぎ攻撃を受け流して蹴りを繰り出すがそれも避けられた
(……早い、反撃も軽々と避けられる)
少女は上段斬りを双剣で防ぐが蹴りを食らい吹き飛ぶ
その蹴りは人の域を超えていた
(障壁ありなのに蹴り一撃で骨が砕けた……身体強化でもここまでは……)
少女は思わず血を吐き激痛で動けなくなる
少女が死を覚悟するとそれに答えるかのように接近して振りかざした刀が少女を斬り裂く
「……弱い、この程度なの?」
刀を持った少女の問いに誰も答えることはなかった
もう双剣使いの少女の意識は無く血を流して倒れているだけだった
少女は何事も無かったかのように森の奥に向かって歩を進める
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