第5話
「忍者姿の嬢さん、被害はどれくらいか分かるかい?」
「分かってる限りではB級冒険者の6人、平民兵士、貴族兵士が数名死亡したとの事です。負傷者を入れれば30はくだらないとの事で出現数は5です」
忍者服の少女は聞かれた内容を淡々と答える
ざわざわと様々な声が聞こえる、魔法は何を使われたのかどうやって情報を得たのかなどと会話が飛び交っている
「なっ! 貴族兵士ですら死んでるのかよ。それにB級冒険者もか」
(報告を聞いた限り神の力無しでは第2形態は勝てずに死んでいた。神の力あって良かった)
リアは安堵する
「この国だけならば敵対国の所為よ、召喚術と転移術の二つの使用かしら? それの大規模な」
「隠蔽用の魔法もあるわよ。この学園内にまで飛ばせるならそう言う類も使っていると考えた方がいいわ、又は……」
魔法使いの姿をした女性が言おうとしたが口を閉じる
皆少なからず面識があるので言いづらく言えば疑心暗鬼になりかねないと考えたのだろうか
「裏切りですね。面識のあるあなた方では言いづらいでしょうから私から言います。この学園にかけられている魔法やこの国の兵士の隙ができるタイミングは裏切り者が居れば楽に分かり作戦がスムーズに進みます」
「……そうだな、この中にいる可能性とこの中ではないがこの国の情報に詳しい奴にいると見たら納得出来る」
「……今日は報告がしたかった。各自敵襲を警戒しておきなよ、以上で会議は終わり」
学園長がそう言うとゾロゾロと会議室から出て行きすぐに数人を残して会議室から殆どの人が外に出る
学園長は動かず残った数人を一瞥して口を開く
「皆残っているね。では会議をしよう」
「先程の人々に聞かれては困る内容ですか?」
「そうだね、聞かれては困るわ……あの中に裏切り者は確実にいる。誰かは分からないけど間違いない」
学園長がそう言うと全員が驚き学園長の話に耳を傾ける
「この学園に張ってある魔法について知っているのは彼らとここにいる数名、そして兵士の情報を知っているとなると彼らくらいしか居ないわ」
「成る程、ですがどうやって裏切り者を見つけますか?」
リアが学園長に聞くとフッと笑い手元で魔法陣を広げる
リアは近づき魔法陣を見る
普通の魔法陣とは違い1つの魔法陣に三重の円が書かれている
普通であれば魔法陣の円は1つだが複合魔法などは円が2つや3つある
「複合魔法ですか?」
「そうよ、三重魔法、内容は言えないけどこれを張ってる」
(神様、面倒なことになった)
……話は聞いたよ〜、どうする?私が犯人教えてあげようか?
(……まだ良いかな。自分の力で出来る限り見つけたい……けどあまり悠長なこと言えないかな)
……頑張ってねぇ〜、あっ、そうだ。ここ最近ね、子供の魂が多く来てるように感じる。まぁ、前の数年と比べて多く感じるかな?って感じだけど
(……成る程、理解したよ)
リアはため息をついて情報を整理する
「忍者姿の……貴女は情報を集めるのが得意なの?」
「それが仕事みたいなものなの! 私の名前はリネッタ・ルートリよ」
忍者姿の少女は名乗りリアに近づいて握手を求める
リアは握手に応じて自分も名乗る
「私はリア・リーレット、リネッタさん情報を集めてくれる? 早急に、下手すると時間がないから」
リアの言葉に何かが引っかかったのか学園長が聞いてくる
「貴女、急いでいるわね。どうして?」
「……物語ではあの怪物が出てくるのは中盤前、そして中盤に入ればすぐに英雄が苦戦した中ボスが現れる。深淵の小人をモチーフにして作られたのならそう考えてみたら時間が足りない」
英雄の物語では深淵の小人が出てきてから数日後英雄がある山に登った時に最初の試験としてとある魔物が現れ対峙している
英雄は結果的に一人でその魔物を討伐したが中ボスについては謎が多い
深淵の小人のように特有の再生能力がある訳でもなくただ大きくて強いと言う印象がありその魔物より他の英雄が苦戦した敵の方が印象的でありほとんどそのシーンの内容までは覚えている人は居ない
「あの物語を完成させようとしている? それなら物語を利用するのは分かるけど」
「いや、あるとするなら悪役の勝利を目指しているのでしょう。まぁ、推測なので気にしないでください」
リアの言葉に何故か皆納得している
(完成させるには英雄が居ない、悪役の方なら英雄居ないなら完成できる)
深淵の小人が現れたのだからリアの言葉はあり得ないとは今の現状では言えないのだろう
「私は用があるので失礼します」
「入学試験はまた後日ね」
「分かりました。失礼しました」
会議室を出て外に向かい森の中に入る
戦闘時に森の中の木は折れていたが周りを見渡しても怪物の死体が無かった
おかしいなと思い近くを歩いて探すが見つかるのは兎型の魔物で他には何も見つからない
(居ない……死んでいないのかそれとも魔法で粉々にしたのが原因? ありゃ、やっちゃったかな〜?)
その後も周りを探索しても特に変なものが無かった為探索を辞めて帰路をたどる
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