第3話
2つ目の試験会場は近くの森だった
下位の雑魚魔物が生息しておりそいつらを2体倒して戻ってくれば良いらしい
下位の中でも雑魚というか大人しい魔物のためほぼ死者は出ないとの事
(ほぼって事は死んだ奴いるよね? いやぁ、そこをしっかりと聞きたいのだけど……下手に突っかかるのは問題起きるよね?)
「この試験はリーザルラビット2匹の討伐だ、試験始め!」
試験開始の合図とともに全員が走り森の中に入っていく
リアは1人遅く森の中に入る
入学希望者の数に対して魔物の数が足りないとは考えづらいのであえて最後尾を走る
全員森の中に入るとバラバラに別れて魔物を探す
(さて、どうしようかな?……兎は何処に居るかな?)
近くに誰も居ない場所でキョロキョロと周りを見渡すと数匹兎のような生き物がウロついている
リーザルラビットは魔物の中では危機察知能力が高く100メートル先の微量の殺気を感じて猛スピードで逃げるので捕まえる際は素早く敵に悟られる前に息の根を止めるか捕獲しないといけない
(距離は数十メートルだからもう察知の範囲内には入ってるか……)
ゆっくりと忍び足で近づき背後からナイフで首を一切りして倒してもう1匹近くの兎を狩る
「これで試験達成……簡単すぎない?」
……そりゃ神の力を使えばねって使ってないんだね。元々の魔力は平民の量と変わらないけど魔力操作が上手くてその分魔力が少なくても強い魔術を使えるからだね
(そりゃあ、他の入学希望者より何歳も年上だよ)
……確かにそうだね、神の力は使わないんだ
(目立ちたくない)
……そう、まぁ試験頑張りなよ〜
(頑張る〜)
神様との会話を終えて森を出る
「おっ、お前が一番か……早いな」
「丁度近くに居たから早く終わった。他はまだ手こずってるみたいだね」
森を見ると数人見えまだ手こずってるようで動き回っている
「敬語無しかよ。まぁ、良いが」
「平民を馬鹿にしてる人に敬語使う気は無いので」
「きゃあああ!」
最初に少女の悲鳴が聞こえリーザルラビットが森の中から逃げるように走ってくる
「不味いね、近くに他の大人は?」
「学園長が居るはずだ、お前は避難しろ」
男性は剣を抜いて森の中に入っていく後ろをリアがこっそり追いかける
他の人の悲鳴も聞こえ始め森の中は阿鼻叫喚と化す
2人がついた時には2メートル以上ある怪物の前に血を流し倒れる入学希望者の姿があった
手負いで戦っている人も数人いた
怪物の姿は腕二本脚二本で人のような姿をしているが人とは全く違かった、全長は2メートル以上あり全身は蛇の鱗のような物に覆われており肉体は大きく普通の人より数回り大きく顔も鱗に覆われていて耳や目、口、鼻などはあり皮膚が鱗のようなものでなければ顔は人の物のようにも感じるが人とは何処か違かった
「逃げずに戦ったのか……クッソ、この数を1人では守り逃げることも出来ねえ。動ける奴らは負傷者を抱えて逃げろ」
「樹木に命じる敵の動きを封じよ ウッドバインド」
リアは近くの木に触れて魔力で操作して怪物を強く縛り付けて動きを封じる
「早く! 縛れる時間は限られてる」
「……今やれば……勝てる」
「今いる全員でやれば……」
優秀と言われた2人がよろよろと立ち上がり手を前に出して攻撃しようとする
(私が確かに神の力を使えば勝てるけど……巻き込む可能性を考えてここは……)
「……愚か者が敵の実力を見誤るな! 自殺願望ならば今ここで自害しろ! 奴を殺しきれる時間はない」
リアは2人を叫び怒鳴りつける
2人は怒鳴り声に身を震わせて近くに倒れてる負傷者を抱えて森の外に向かう
「撤退するぞ。負傷者を連れて森の外へ行くぞ!」
「殿は私が務める」
歯軋りをして男性は頷き負傷者を抱えて走り去る
他の動けるメンバーが合流して残りの負傷者を抱えて森の外へ向かう
「……くっそ、任せたぞ。早目にお前も逃げろよ」
「……なぁに、時間稼ぎするだけだよ。でも倒してしまっても構わないだろう?」
後ろを向き笑みを作り男性にそう言って怪物を睨みつける
怪物は縛り付けている木を怪力で引き千切る
「済まないね、まだ動かないでくれないかな?」
地面に触れて魔力を込めると辺りの木の枝が伸び怪物の首や足、腕関節、手の指の関節一つ一つまで強く縛り上げ2メートル以上ある図体を空に浮かせる
「……ふぅ、流石に疲れるなぁ。流せる魔力は多くはないからあまり時間は稼げないけど逃げることも出来ないなぁ」
木に寄りかかって怪物の様子を見る
再び縛られてもなお未だに暴れているが抜け出せない
「……負傷者を抱えていたからまだ時間はかかるかな? それよりなんでこんな怪物がこの場所にいるのかな? 人が関与してるなら面倒ごとになる前に始末しないとね」
リアは皆が逃げた方向を一瞥すると怪物に視線を戻す
この怪物は存在が確認されている魔物や生物について書き記した本の中には書かれていなかったのである
だがリアはこの怪物について見覚えがあった
「神の加護を得た1人の英雄が倒したあの怪物、名前は深淵の小人だったかな? 子供に聞かせる名前にしてはいい名では無いけど実在していたのなら話は別かな?」
段々と木々が引きちぎられていき怪物は前に出ようとしている
リアは手を前に出して何かを握り潰す行動を取ると木々が強く怪物を絞める
指の骨が折れバキッと言う鈍い音が響く
怪物は激痛で叫び更に暴れる
だんだんと縛り上げていた木々が怪物を絞め殺そうとする
(……魔力を通した木々で行った捕縛をただの怪力で突破出来るとなると怪力を振るわれると人程度では一撃で死ぬ筈、話を後で聞こうかな?)
怪物は段々と大人しくなりそして力が弱まっていき倒れる
生死を確認する為警戒して近づき息をしているか確認すると息はしておらず死んでいる事がわかった
「ふぅ、なんとか倒せて良かった……早くこのことを伝えた方がいいかな?」
安堵して森の外へ向かおうとした時死んでいたはずの深淵の小人は立ち上がり不気味に笑い腕を鞭のようにしならせて周りの木々ごとリアを薙ぎ払う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます