「穴場系ギタリスト」のススメ・後編(どんな人が穴場系?)
あまり有名ではないけれども心に残る「穴場系ギタリスト」。どんな人が「穴場系」と言えるだろうか。
これは個人の好みによって変わる。有名かどうかの基準も人によって違うし、「心に残る」に至っては完全に個人の感想だ。
だから、ここでは「私の心に残ったけれども、ギター雑誌などではあまり名前を見ない」ギタリストを紹介する。
まず浮かぶのは、リンク・レイ(Link Wray)。
エルヴィス・プレスリーなどがデビューした50年代、アメリカでデビューしたギタリストだ。
パワーコード(ロックで多用される省略コードの一種)やディストーションサウンド(ロックギター特有の「ジャーン」っていうあの歪んだ音)を開発したことで、「パンク、ヘヴィロックの先駆者」と言われている。
58年のデビューシングル「ランブル(Rumble)」では、アンプのスピーカーに鉛筆で穴を開けたことで出来た歪んだ音と「チンピラの喧嘩」を意味するタイトルのせいで「インストなのに一部ラジオ局で放送禁止」という偉業(?)を成し遂げた。それにしてもスピーカーに穴ってずいぶん乱暴だな……。
基本的には歪んだ音のシンプルなギターインストが多いが、70年代初頭のアコースティックでソウルフルなカントリー・ロックなどの歌モノも渋い声でなかなかカッコイイ。ちなみに70年代以降のライブではハードロック顔負けの激烈な音で豪快に弾きまくっている。
ジミ・ヘンドリックスなどの伝説的ギタリストやジャック・ホワイトなどのガレージロック系ギタリストなど、幅広いアーティストに影響を与えている。
その割にジミヘンやツェッペリンと違って「知る人ぞ知る」扱いにとどまっているのが何ともわびしい。カッコイイんだけどなぁ……。
あとは元ティン・マシーンのリーヴス・ガブレルス(Reeves Gabrels)、
リーヴス・ガブレルスは、デヴィッド・ボウイが80年代末にポップ路線から脱却する時に組んだバンド「ティン・マシーン」のギタリストで、バンドのシンプルで荒々しい音楽性に合わせたヘヴィで豪快なプレイが特徴。正統派のロックを基本としながら、ノイジーな音やトリッキーな奏法なども使いこなすオールラウンダーだ。相当上手いのだけれど、ティン・マシーンが売れなかったこともあってあまり知られてない。70年代にボウイと共演したミック・ロンソンも過小評価されているように思うが、彼の扱いはもっとヒドイ気がする。
飯田昌洋は、80年代のジャパニーズ・メタル(略してジャパメタ)のブームの中で異彩を放っていたバンド「FLATBACKER」のギタリストで、ヘヴィメタルとハードコア・パンクを合わせた音楽性と、独特のうねりを持ったフレージングが特徴。当時はまだメタルとパンクの対立が激しかったらしく、その中で両者を合わせたのだから斬新だっただろう。しかもそれにとどまらない個性もある。なんで今知られてないの?
私が思う「穴場系ギタリスト」を3人紹介してみた。
彼らは、世間一般ではあまり知られていないかもしれない。でも、心を揺さぶられた人たちがいたのは確かだ。そして、自分の望む表現が出来ていた。
自分のやりたい表現で、誰かの心を動かす。それは表現者としてとても幸せなことではないだろうか。
私も、そんな表現者としての幸せを深く味わいたい。たとえ売れなくても。
ところで、「穴場系ギタリスト」は他にもたくさんいる。あなたがロックファンなら、ぜひ自分にとっての「穴場系ギタリスト」を探してみてほしい。
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