旅行先での災難
ある年の8月上旬、家族旅行で名古屋に来ていた。
1日目は、犬山城と城下町を見た。雲もなく頭が焦げそうな炎天下を歩いた。建物の中が非常に涼しく感じられた。
2日目は、名古屋城、徳川美術館、そして徳川園という庭園を見た。その日も快晴で、気温は35度を超えていた。
ショッピングモールで遅めの昼食をとり、駅に向かった。駅ビルで土産物を買い、ホテルに頼んで家に送ることにしたのだ。
土産物を見る。今日買う物と帰り際に買う物を決める。その時買ったのは、父の職場や近所の人へ渡すお土産。自分たちの分は、帰り際に買う予定だった。
夜食を見る。弁当屋などが集まっている所に揚げ物の店があった。何種類かの揚げ物を買った。
ホテルに戻ろうと思ったが、強い雨が降っていた。にわか雨だろう。早めの夕食をとって雨が止むのを待つことにした。駅ビルの地下からそのまま地下街へ向かう。飲食店を探した。
全部満席だった。鰻屋や豚カツ屋のみならず、マクドナルドまで満席だった。
地下街を出ることにした。雨に備えて折りたたみ傘をカバンから出した。階段を上って外に出た。
結局、折りたたみ傘は使わなかった。
頭上からは高圧洗浄機の如き豪雨。足下は約30cmもの冠水。私の膝下辺りまで水が迫る。折りたたみ傘ではもろくて使い物にならない。
荷物を抱えて逃げるようにホテルへ逃げ帰った。水しぶきを上げないように走った。弟は激しく水しぶきを上げていた。途中で弟が羊羹の袋を取り落とした。流れる紙袋を母が拾った。
ホテルに戻る頃には、ずぶ濡れだった。ホテルの前で服を絞ると、水が出てきた。フロントから新聞を1、2部持っていった。ホテルの部屋でちぎって丸めた新聞を靴に入れ、服と共に乾かした。その後、シャワーを浴びて着替えた。
私と父は、母と弟の泊まっていた部屋に入った。夕食代わりの揚げ物と菓子を食べ、翌日の日程について話し合うためだ。
弟がテレビをつけた。画面には、つい先程通ってきた駅前の風景。その後、水浸しになった商店や民家も映った。全国ニュースだったようだ。
旅行先で豪雨に遭うなど、全く予想していなかった。まして全国ニュースの現場に立ち会うなど、誰が予想しただろうか。
「天災は、予期せぬ時にやって来る」
そんなことを思いながら、羊羹を食べた。
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