第40話 雪女
「師匠、帰ってきました。」
「おかえりなさい。ヒムロ。おまえの活躍は噂で聞いていますよ。」
「それなら話は早い。邪悪なる者となった伝説の剣騎士デカノーホウトを倒すために強くならなければいけません。スノーウーマン師匠、私にフェンリルの剣騎士の鎧を与えて下さい。」
氷の剣騎士ヒムロの師匠は、雪女のスノーウーマンだった。
「今は無理です。」
「どうしてですか?」
「それは雪の女王様と氷の女王様がケンカを始めてしまい、フェンリルの住む氷の森に行けなくなってしまったのです。」
「なんですって!? 仲の良かった女王同士なのに、なぜケンカを始めたんですか?」
「原因は・・・。いや、言うのはやめておこう。おまえが女王様たちに会い、直接理由を聞くがいい。私は知らない。」
「どういうことですか? 師匠。」
「私は関わりたくない。プン。」
少しスノーウーマンの機嫌が悪くなり去って行った。
「おかしな師匠だな。いいですよ。自分で聞いてきます。まずは雪の女王様からだな。」
ヒムロは、雪の女王の雪の城へ向かった。
「ヒムロ! あなた! 私と氷の女王と、どっちが好きなのよ!」
「はあ!?」
「正直に答えなさい! もしも私より氷の女王を選ぶというなら、醜い雪男に変えてやるんだから!」
「スノークイーン様!? 何を言い出すんですか!?」
「答えなさい! ヒムロ! 答えなさいよ! ヒムロ!」
「ポカーン。」
雪の女王スノークイーンは、氷の剣騎士ヒムロのことが好きだった。
「この生存率の低い極寒の地では、若い男は貴重! ヒムロ! 私と結婚しなさい!」
「ま、まさか!? 雪の女王様と氷の女王様がケンカした理由というのは・・・。」
ヒムロは、嫌な予感しかしなかった。
「ちょっと待った!!!」
「ゲッ!? アイスクイーン!?」
そこに氷の吹雪と共に、氷の女王が現れた。
「抜け駆けは許さないわよ! ヒムロに氷の剣騎士の鎧を授けた時から、私とヒムロは結婚する運命なのよ!」
「そんな、アホな。」
「ヒムロ! あなたに氷の剣騎士の鎧を授けた時に、私のことを一生守ると言ったわよね!? あれは私にプロポーズしたのよね!? ね!?」
「私は雪や氷の世界を守りますと言っただけです。」
「ウギャアアア!?」
「氷の女王! 勝手なことを言わないで! 氷漬けにするわよ!」
「お黙り! 雪の女王! あなたなんか雪だるまにしてくれるわ!」
雪の女王と氷の女王は犬猿の仲だった。
「もう、やだ。私は師匠の元へ帰る。」
「ヒムロは、おまえたちのものではない。」
「え?」
その時、第三の女の声が聞こえる。
「ヒムロは、私のものだ!」
「あなたは!?」
「地獄の女王ヘル!?」
現れたの地獄の女王のヘルであった。
「次から次へと何なんだ!?」
困惑する氷の剣騎士のヒムロであった。
つづく。
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