第41話 地獄の女王
「さあ、おいで。ヒムロ。私の元へ。一緒にヘルヘイムへ行きましょう。」
「ヘル様まで!?」
第三の女王は地獄の女王ヘルであった。
「ヘル!? 抜け駆けは許さないわよ!」
「さっさと地獄へ、お戻り!」
「なによ!? いくら友達でも、ヒムロは譲らないわよ!」
三人の女王が目からビームを出しながら睨み合っている。
「あはははは・・・。スノーウーマン師匠が来たがらないはずだ。こんな恐ろしい女王様たちがいれば、神も天使も悪魔も、この冷たさに閉ざされた世界に足を踏み入れないはずだ。はあ・・・。」
基本的に、絶対零度の世界には、神も天使も悪魔も存在しなかった。なぜなら、雪の女王、氷の女王、地獄の女王のいる世界に侵入する者は皆、冷たくなって動かなくなるからだった。
「こうなったら、実力で勝負を着けるしかないようね!?」
「望むところよ!?」
「誰が一番強いのか決めようじゃない!?」
三人の女王は戦うことになった。
「凍てつけ! 氷の女王の剣騎士の鎧よ!」
氷の女王アイスクイーンは、氷の女王の剣騎士の鎧を装着する。
「ふぶけ! 雪の女王の剣騎士の鎧よ!」
雪の女王スノークイーンは、雪の女王の剣騎士の鎧を装着する。
「堕ちろ! 地獄の女王の剣騎士の鎧よ!」
地獄の女王ヘルは、地獄の女王の剣騎士の鎧を装着する。ここに三人の女王が剣騎士の鎧を身にまとい、一堂に会した。
「やめて下さい!? 女王様方!? 三人の女王が戦ったら、この世界に氷河期が来てしまいます!?」
「原因は、あなたでしょうが!」
「そ、そんな!?」
「お黙り! すぐに氷と地獄の女王を片付けて、私と雪原で結婚式をあげましょう!」
「違う! ヒムロは、私と地獄に行き、死者たちに祝福されながら、結婚するのよ!」
「どれも嫌だ。」
しかし、そんなヒムロの意見は三人の女王たちには聞こえていない。剣気を高めた三人の女王が必殺技を繰り出す。
「やはり実力勝負ね! あなたたちに、私のように美しい氷の結晶を見せてあげましょう! くらえ! ダイヤモンドダスト!」
「純白のウエディングドレスを着るのは私だ! 白い雪の前で全ては無意味! 城の世界へ誘ってやる! ホワイトアウト!」
「ようこそ! 地獄の三丁目へ! どんな氷も雪も大丈夫! いでよ! 我が兄! 氷狼フェンリル兄さん! 大地の杖の毒蛇ヨルムンガンド兄さん!」
三人の女王の意地の張り合いは続く。
「あ、フェンリルさんとヨルムンガンドさん。」
「よう、ヒムロ。妹たちは何をしているんだ? このままでは、世界が雪と氷で覆われた世界になってしまうぞ!?」
「いつもの意地の張り合いですよ。疲れたらやめて、仲良く青春してますから、気にしない方がいいですよ。」
「そうだな。て、ヨルムンガンドが凍っているんだが!? おい!? 大丈夫か!?」
「なんでヨルムンガンドさんまで召喚したんだ!? 寒さに耐性が無いのに!?」
「カチコチ・・・。」
三人の女王の一方的な迷惑な争いは世界に寒気をもたらした。
つづく。
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