3. 世界は「サイズ」でできている。
ハロー!B・Dです。
ボクは、すごく背が高い。
それで、日本ではボクは規格外のオトコということになる。
ベッドや布団から足がはみ出す。
友だちの家に行くとスリッパを出されるけど、小さくて歩きづらいから、今は断ることにしてる。
ボクの脱いだ靴が玄関に置いてあるのを見た生徒さんが、「小さいボートを連想した」って言ったこともあった(笑)。
トヨタの小さめの車に乗ってるんだけど、シートを後ろに目一杯下げても、ヒザがつかえる。
だから、ボクの車の運転席の後ろに乗る人は、ものすごく窮屈だろう。時々アメリカから友だちが遊びに来て、その人も大きい人だと、運転席とリアシートの背もたれにペシャンコに挟まれた状態になる。
申し訳ないけど、ちょっと笑えるよ。
食事のあとはボクが皿洗いをしたいんだけど、キッチンのシンクが下にあり過ぎて、ガマンできないほどコシが痛くなるのでできない。だから、これはオクさんにお願いしてる。そのかわり、ボクが料理をすることも多い。シンクよりは調理台の方が高いしね。
混んでるエレベーターに乗って周りを見ると、ボクだけ突き出してる。飛行機に乗って雲の上に出たような気分。
コンサートとかでよく見えていいでしょうって言われる。それは否定しないけど、ボクの後ろの人にはゴメンナサイって複雑な気持ちになって、ちょっと小さくなろうとして窮屈に感じることもある。
小学校の英語のクラスのあとに、子供たちと外に出て遊んでる時、ボクが木のそばに立っていたら一人の女の子がとても心配そうにボクに近づいて来た。そして、上を指差して「センセイ、気をつけて」って言ったんだ。
その日、担任の先生が、カラスが子育ての時期で神経質になって人間を襲ってくるから、木のそばでは気をつけなさいって注意したらしい。
それで、ボクが背が高くてカラスの巣に近いから危ないと思ったんだって。
なんてキュートな心づかいだろうと感動したけど、きっとその子から見たら、ボクは木と同じくらいそびえ立って見えるんだろうね。
そのほかにも、いろんなところで設備が小さ過ぎる、低過ぎるってことがボクにとってのふつうだ。
こういう問題はちょっとしたことのように思うけど、身の回りのすべてのことにベーシックにそなわってることなんだ。つまり、ここではそういうサイズで「世界」ができてるということ。
左利きの人は、生まれた時から右利き用の世界にいるから、不便なことに慣れてるかもしれないけど、もし左利きの世界というものがあって右利きの人がそこに突然迷い込んだとしたら? きっと、これに近い感じなんじゃないかな。
日本の人にこの話をすると、逆に彼らが海外に行くといろいろなものが大きいとか高いと感じるって言う。なるほど、お互いさまなんだね。
ある男性は、北欧に行った時に小便器を見て「届くかな」って思ったんだって(笑)。
低いのも困るけど、高いのもスリリングだね。
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