第11話



 夢を、見た。


 私は元いたあの家の居間にいて、そこにはなぜか、仲の良い従兄弟が遊びに来ていた。彼はどこかうつろな顔でチョコ菓子やキャンディを取り出すと、こちらにくれた。床にベタ座りしていた私は手を差し出してそれらを受け取ると、無心で食べた。酷く飢えていた。いつか本で読んだ、飢饉にあえぐ中世ヨーロッパの平民のように、私は堪え難い空腹と飢餓を感じていた。私は無心で甘味を貪り食べた。口元はべたつき、手は溶けた砂糖まみれでひどく汚くなった。それでも、食べ尽くしてしまった私はほっとしたような夢心地で、恍惚感と幸福感に酔いしれて、ぼうっと天井を眺めていた。

 するとやがて、悲しげな顔が目の前に現れた。ミランダだった。美しく整ったその顔は、悲しげであっても、やはり気品にあふれて恐ろしいほどに綺麗だった。

「すまない、リア」

 いいよ、と私は笑った。

 いつだって、私はそんな役回りなのだ。

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