第11話

『それに、人は誰にだって依存する時があるし。当たり前だと思う』

『うん。また、話してみる』

『うん。きっとその子は優しいから、嫌ったりはしないと思う』


そうであってほしい。


『自分に自信を持てとか、そんな綺麗事は言わない。でも、下ばかり向いてちゃよく見えないよ』

『うん、もう少し周りを見るみたいな、そんな感じで頑張ってみる』

『既に頑張ってると思うよ』


その一言に身体じゅうが震撼した。そして、気も身体も一気に軽くなった。


“既に頑張ってると思うよ”


私は、この言葉が今一番欲しかったんだなって痛感した。


『ならわしってのは大切だからね。無茶はしないように』

『やりすぎておかしくなることが多いから、少しずつやってみるよ』

『そうだね。おかしくなっては元も子もないし』


セキヤくん、今日はありがとう。早く、文にして伝えなきゃ。


『うん。ほんとありがとう。かなり、楽になった』

『こちらこそ、ありがとうよ。まあ、また振り返ってしまったらいつでも俺に聞かせて』


私は、セキヤくんの返信に既読を付けずに眠って、寝落ちしたことにしようと考えた。


セキヤくんとのトークを終わらせたくなくて、そして、この軽くて、楽で、柔らかい気分のままで、ずっといたかったから。

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