第5話〜再生〜

「おかえりー。姉ちゃん」

「ただいまっ」

「母さん仕事長引くらしい」

「そうみたいね。聞いたよ〜」

「そこのテーブルに母さんの料理置いてあるよ。俺はもう食った」

「おーけい」


弟のレンだ。こうしてみると可愛い弟だ。やっぱり、家族は良いな。家族も宝物だ。


私の弟は来年から中学生になる。


私、勉強は割とできた方で、きっと中学生をしっかりやってたら変わった運命もあったはず。


こう、悔やむところが多々ある私は、今のところ運動もできて勉強もできる弟に、私と同じような道を歩ませたくない想いが強い。


ま、可愛い弟は大切にしたいよね。って話。



晩御飯もお風呂も全部終わった私は自分の部屋に入って、昨夜(まあ、今日の午前だけど)に来たメールの様子を確認した。


返信が来ていない、と思ったら今ちょうど来た!


『よろしく。元気?』


せっかく返信が来た直後にメール確認できたから、早速返してやりとりしよう。


『元気です!もしかして、セキヤくん?』


そうだ今思えばセキヤくんのプロフィール画像の雰囲気も前と全然違う。前はなんか、暗めのイラストが多かったんだけど、今はベースを肩にかけていて首元までしか写っていない男の子の写真だ。きっと、コレがセキヤくん....!いやでも、セキヤくんって音楽興味あったっけ....。あっ、そういえば昨日、ママの買い物について行ったらセキヤくんのお母さんに会ったっけな。唐突に連絡が来るくらいだから、それと何か関係があるとしたら....。


ああもう!考えるだけ無駄!今はセキヤくん?の返信内容に集中しよう。


『そうだよー笑。前のアカウントは、スマホがチョコに侵されてしまって使えなくなってしまってね笑笑』

『なんでチョコに....笑』

『インドの大反乱ならぬチョコの大反乱ですね。今、何されていらっしゃいますか?(二重敬語』


ヤバい、書かれるボケ方の内容が他の人よりも遥かにレベルが高い....!


『今は布団の上でゴロゴロしておりますね』

『かの人類の聖地!人生とは布団と言われる程のね』


やっぱりセキヤくんって何考えるてるかさっぱり予測できない。昔からそうだった。


私に限らず、皆んなも予測できなかったかもね。


セキヤくんはどこか他の人とは全く風変わりな雰囲気を持っていた。


とにかく、セキヤくん本人だと確信できたのと、セキヤくんが前とほとんど変わっていないことにホッとしたせいなのか私はそのまま、送られたメッセージに既読も付けず眠りに落ちてしまった。

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