第3話
ずっと眠っていたいなぁ。毎日のようにベッドの上で枕を抱きしめ、そう思っている。
毎秒、毎分、登校時間がズイズイ迫ってくるのを意識的に感じてしまうとそう思ってしまう。
皆んなが一斉にずっと眠り続けたら、誰も苦しむ事のない世界ができちゃうのにな。
私は気乗りしない心と怠い身体をベッドから無理矢理引っこ抜く気で登校準備を始めた。
*
「ねぇねぇ、マイちゃん!私のこと嫌いなの?ねぇ、嫌いなの?」
またか、このメンヘラ女。私のメールも他のSNSアカウントも特定してくるという執着ぶりには呆れている。
「私が何するも、私の勝手でしょ?それに、私がカケル君と仲良くしてるだけなのに何でユカナのこと嫌いになるわけ?」
「私のことが好きなら、もっと私を見てよ。側にいてよ」
反面教師、反面教師。少なくともこう言うキツい女にはなりたくない。
「別に、一言もユカナのこと好きとか言ってないよ?何勘違いしてるの?むしろ嫌いだからこうなってるわけじゃんか」
「なんなの!?このっ....!」
ユカナの握り拳が目の前に作られたと同時に目を背けたが、もう一度前を見たら更なる災厄が私の身を撫でていた。
「授業始まるぞー。モメてないで早く数学の教科書準備しろよ」
セクハラ数学教師が左手でユカナの拳を収め、右手はしっかりと私の左肩を掴んでいた。
セクハラ数学教師は、その右手の中指と人差し指で私の左肩の上に人の二本脚を作りだし、私の首筋まで歩かせた。
気持ち悪い。死ねばいいのに。
「はい、すみません。今すぐ準備します」
私はサーモンを狩るクマの剛腕の如く、思い切りその右手を腕で払いのけ、自分の机へ向かった。
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