第40話 羽休めの休日 5



 古代文明が生み出し遺物スフィア、それらの多くは遺跡の奥深くに眠り、トレジャーハンター達は世界を飛び回って、その遺跡を日々攻略しながら、日々活動している。

 しかし、そんなトレジャーハンターにも、休日というものは存在する。

 存在するったら存在する。

 ただし、その休日が長続きするかどうかは、神のみぞ知るところだった。





「あー、休日なのに、セツナさんったら、なに資料整理なんかおしつけてくれちゃってんのさー!」


 頭をわしゃわしゃして、ミリが叫び声を上げる。

 二ャモメ団の三人は、休日なのにもかかわらず資料室で資料片手に、えっちらおっちら、整理作業をしている所だった。


「仕方ないよー。三日酔いで潰れたセツナさんの代わりに誰かがやらないとー、報告書まで書き遅れちゃうんだからー」

「そうだよっ、セツナさんも、ごめんねって言ってたからポロンがんばって資料さん整理するんだよっ!」


 なだめるケイクに同意するポロンちゃん。しかし、ミリは八つ当たり気味に、資料を鷲づかむ。


「遺跡保護団体めぇー! 定期的に活動をまとめた報告書を出しなさいなんて言ってっ、完全に素行不良の問題児扱いじゃん!」

「僕たち色々問題起こしてるからねー。擁護してくれる人もいるはいるけどー」


 ミリは鷲づかんだ紙束を乱暴に、遺跡ごとに分けていく。


「だいたいっ、破壊度で言ったら、赤風団の火炎女の方がよっぽど破壊してるっつーのに!」

「あっちもー、たぶん僕たちみたいに言われてるんじゃないー」

「なーんーでー、こんなことしなきゃいけないわけぇ―。ウチ等の休日返してよー」


 文句が止まらないミリだった。


「ミリちゃん、暗いお顔はめっだよ。暗い暗いしてると暗い事がやって来ちゃうんだよっ。ポロン知ってるよ」

「そーは、言うけどさぁー。はぁー、何かこんな事してる場合じゃなくなるような事起きないかなー」


『あーはっはっは! 全世界の諸君! 聞こえているだろうか』


「なにこれ、モニターに暗黒団の悪人が映ってるんだけど」

「わーすごい、全世界だってー、どうやってるんだるうねー」

「ふぇ、悪人さんが悪いお顔してる」





『たった今、世界は私のものとなった。逆らう者は皆殺しだ。王宮遺跡にある超プラズマ砲にて、チリも残さず消滅させてやろう。世界のどこにいても、こいつは届くぞ。逃げ場などない。隠れても無駄だ。だが安心しろ、私に恭順の意をとなえるならば、便利な道具として使ってやらんでもない。ふははははっ、愚かな者どもよ、この私を恐れろ! そして崇めるがいいっ! あーはっはっは!!』





 ケイクとポロンはミリを見つめた。


「ええっ、これアタシのせいかっ!?」


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