作中、彼女は薔薇に例えられる。私としてはもう一歩踏み込んで、二人の関係そのものが薔薇のようなものだと考えた。 薔薇はある程度寒さに強いが、冬がくるまえにしっかり根を降ろせないと枯れる恐れが強くなる。その点、本作のカップルは少々危なっかしいところもあるがまずまずだろう。 直江兼続というとつい前田慶次を思い出してしまうが、大幅に減封された上杉家を支え続け、慶次への恩義に誠実に報いた兼続ならば、二人の恋を暖かく見守るに違いない。