透明の冬

PREラッシュ(活動休止中)

貴女へ

貴女は憶えていますか?

ここは僕と貴女だけの場所です。

貴女は僕にこう言いましたね。

『ボブ・ディランはノーベル文学賞を受賞したのに貴方には何も功績がないわね』

貴女の栗色の短い髪がかすかに揺れました。

『僕に功績なんかなくてもいいです。だって…僕は貴女の事が好きですから』

僕の言葉に貴女は頬を赤く染めました。

貴女は美しい。

美しいがゆえに怖い。

薔薇の棘のように僕を刺すから。

貴女は呆れたように笑いながら僕を見ていました。


僕と貴女は山形の米沢まで一緒に旅行しましたね。

米沢城まで行きたい、と貴女は僕に言いました。米沢城は上杉氏に仕えた武将直江兼続にゆかりがある城です。

『写真だけは撮りたいわ。貴方と一緒がいい』

貴女は可愛く笑いました。

その笑顔は僕だけのものです。

これからも。

 

 


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