第34話 平和を愛し求めるのは悪いことなのか(2)

戦争をしてはならない。戦争に負けてはいけない。当然の事だろう。

☆☆☆

【平和を愛し求めるのは悪いことなのか(2)】


【石原莞爾異聞録~大日本国兵はいずこで戦うなりや~】

第二次世界大戦の原因と責任の所在について曖昧にして我が帝国政府と軍部の責任を否定し帝国主義的侵略を正当化する効果を発揮する著作を発見したので感想を投稿した。エッセイ集にも収録しておく。


“ 投稿者: ボーロン [2019年 04月 27日 08時 05分] ---- ----


良い点


仮想の日本が危機を乗り越えて行くのは、日本人なら楽しいでしょう。日本だけが一方的な侵略者で無かったのも事実です。私もIF戦記は好きでたくさん読んでおります。石原莞爾ものだけでも20冊くらいは読んで面白かった記憶がございます。


気になる点


一方的ではなかったにしろ、現実の日本が帝国主義的侵略者であったのは事実です。日本人の犠牲者が数百万人、中国側が数千万人の犠牲者が出てるそうですね。石原や田中、甘粕や河本たちに戦争責任があるのも事実です。沖縄で無残に殺された人たちに対しての犯罪者です。小説の方向性と観点のバランスを取らないと事件化の危険は付き纏うと思います。実名を避けるのも良いことですね。


一言


感想が65件もある事実が示唆するものが恐ろしいです。現実の戦争は悲惨で醜悪なものです。そして概念として、物語と現実世界は繋がっていて切り離す事は出来ません。必ず相互に影響し影響されます。

知った名前の方が呑気に好戦的な気分で楽しまれてるように見えるのは哀しいですね。それだけの影響力があなた様の作品にあるという事です。”


☆☆☆


以下抜粋して引用する


“壱ノ陸

 満洲計画大綱という、今上天皇のご意思に反する計画を揃いもそろって賛同する意見を述べていく光景に、牧野は一種の恐怖感を覚えた。


「防衛行動と申しましても、動くのはこちらからなのでしょう? 陛下の仰せられている侵略行為というのは、私たちが先に動いて敵の領地に侵攻することです。この満洲計画大綱なるものは、読む限り関東軍から動くことになっているようですが」牧野も負けじと反論する。


……。


 ただし、もし張学良の方から仕掛けてきた場合、在留邦人保護を名目に軍隊を動かすことを認める……。これが、鈴木の出した結論であった。


 なお、この場にいる鈴木、奈良、一木の三人の中では、奈良、一木に関しては完全に満洲計画賛成派である。鈴木は部分的賛成。牧野は反対だ。


 内大臣の牧野を説得しない限り、天皇はお怒りになる。それはつまり、計画の破綻を意味する。

 日本が一丸となって、満洲計画に賛同しなければいけないのに、天皇の側近である内大臣が否定的では、天皇もそれに影響してしまうのだ。


……。


「牧野内府、別に日本は満洲を日本領とするわけではありません」


「うん、満洲国という国家を建設するのだよね」


「はい。これは民族自決に則ったものでもあります。満洲国は清朝の生き残り……つまり漢民族ではなく、満洲民族による独立国家となるのです。支那国民政府が漢民族の国家とすれば、満洲国は満洲民族……これこそ、陛下の考えられているアジア万邦共栄への道ではないでしょうか」


「牧野内府、陛下は確かに非戦論を掲げていらっしゃる。しかしながら、日本に不利気を被らせるほど、かたくなに戦争を忌避しているわけではない。日清、日露戦役、そして先の大戦。日本は仕方なく参戦していった。常に陛下は戦争を忌避しているなれば、なぜこれらの戦争が起こったのであろうか……。


 今回の満洲計画は、その『仕方がない』紛争の一つなのだ。牧野内府。どうか今回に関しては目を瞑ってはくれないか」


……。


「牧野内府。事が起こり次第、陛下には『仕方がなく』戦闘行動を行っていると言ってくれますね?」


「……わかった。そうしよう」……。“



以上抜粋引用部から、昭和天皇は統帥権を含む政治的な実権があり、自らの意思で、満州国建設を追認したと解釈できますが、それは現実の歴史的事実と乖離していますね。(小説のなかでも軍人たちは陛下の統帥権を無視しています)


【実際の昭和天皇は、二度の例外を除き終始立憲君主・国民の象徴・代表として行動しておられた】


陛下は、終始、国家機関の決定を、「議長」が議会でそうするように裁可されたのです。


この小説は昭和天皇の大御心を曲げ陛下の名誉を毀損している思う。


☆☆☆


戦争で人殺しはさせたくない。戦争で殺されたくも無い。阻止する為に出来ることがあれば実行する。

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第1章 正論_なぜ拒絶されるのか ボーロン@bawlondaneel @kazhay

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