43話 俺の秘密を!

試験後、3人は俺とシャーノの部屋で将来について等を話す事にした


俺は自分がサタンとラファエルの息子であることを告白しようと迷っていた。 その時


「私は魔界騎士団の宰相、エヴァンスの1人娘」


とエリーが言う


…エヴァンスが宰相か、考えられん


「将来は多分、魔界騎士団に入ると思う」


エリーは俺と似ている、そう思った

だが彼女は自分の意思で自身の親を継ぐつもりなんだろう


「あとこの学校に入る前、錬金術の使用禁止令が出されて承諾したの」


使用禁止令、俺の特級魔法もそう命じられた

そういえば何故禁止させたんだろうか、俺は危険だからかもしれないがエリーは…


「俺は将来、武器屋になりたい」


シャーノは突然口を開いたと思えば意外な発言をした


「どうして?」


エリーはすかさず聞く


「深い意味はないが、オーダーメイドの武器を沢山作りたい」


普段何も考えていなそうな奴だが、意外としっかりしているんだな


「クロウは?」


…俺は2人に自分の秘密を話す決心をした


「驚かずに聞いて欲しいんだけど…」


手が震える。 2人に話して避けられるのが怖い…


「大丈夫だ、何を言われても俺達はお前と一緒にいてやる」


シャーノ…


「うん、どんなに酷くても見放さないよ!」


エリー…


「ありがとう」


俺はそう呟き、話をつづけることにした


「俺はサタンとラファエルの息子なんだ」


やはり2人は驚いている


「それで俺は産まれてすぐ、父親(サタン)には破滅の卵、母親(ラファエル)には平和への礎になれ。 そういう強制ルートを与えられた」


2人は黙って俺の話を聞いている


「でも俺は卵にも、礎にも、どっちにもなりたくない」


「ただのクロウとして生きて死にたい」


それが今の俺の本心だ

つい最近までは両親に全力で反抗し、殺す事しか考えていなかったのに…

こいつら2人のせいで、反抗よりも楽しいことが出来てしまった


「それが本心か?」


シャーノは下を向きながら俺にそう聞いた


「ああ。 俺は天使と悪魔のハーフだが、ただそれだけの人として死にたい」


どれほど沢山の人にそれだけは辞めろと言われても、俺はこの信念を貫く。 そうレイとも約束した


「凄い、カッコイイよクロウ君!」


エリーは立ち上がり俺の手を掴んだ


「ああ、立派だ」


シャーノも俺を見て微笑んでいる

何だか照れるな…


「じゃあ2人に、俺のことを教えてやる」


シャーノは立ち上がった、そして…


「俺は…」


ドンッ!


「何…!?」


外から爆発音の様な音がした!


「行こう、敵襲かもしれない」


俺達3人は部屋の外に飛び出した



「あーあ、つまんねぇの」


校舎は半壊し、多くの人が倒れていた。 そんな中、外に黒いローブを身につけた人が翼を広げ浮かんでいた


「何だアイツは…」


身長は俺達くらいだが、翼の色が…


「天使なの? 悪魔なの?」


左が白く、右が黒い… あんな配色見たことがない!


「そこに誰かいるのか?」


っ…! 近づいてくる!


「ワイバーン、アイツを追っ払え!」

俺はワイバーンを召喚した。 しかし…


「ぐっ…!」


ワイバーンは炎のブレスを出そうとするも腹部を刺され、消えてしまった

それに攻撃した瞬間が見えなかった…!


「やァ」


いきなり俺の目の前にローブの男が現れる

いつの間にワープしたんだ? それにしても早すぎる…!


「君が予言くんか、どっちにするか決めた?」


コイツ、俺の予言の事を知っているのか?


「決めてないっぽいねぇ。まあそうだよね、2つ選択肢が用意されてるんだし」


卵と礎の事も知ってるのか…!?


「僕は1つだけだからね、君より簡単だったよ」


一つだけ…? コイツにも強制ルートが?


「僕は鍵、君とは対の存在の鍵だ」


鍵…? 聞いたことがない


「ねぇ、何か喋ってよ」


するとローブの男が俺の首を絞め始めた!


「俺は…卵にも、礎にも…ならない!」


「あっそ」


男は案外すぐ手を離した


「君がならないって言っても僕が無理やりさせてやる」


そう言うと男は飛び去った


何なんだあの男… と俺は男が飛び去った方向に手を伸ばしたが倒れてしまった

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