40話 これは勝ったな!

(中間試験当日)


「まずいな…」


俺は筆記試験の範囲を何一つ知らない。 いや、聞いていなかった…


「今更後悔したって遅いぞ」


シャーノは試験の範囲を知っているからといってかなり余裕そうだ

コイツは教えてくれと頼んでもお前のせいだとしか言わない


「最下位だったらどうしよう…」


確実にクソ両親に殺される、サタンとラファエルの息子が何をやってるんだ。と…


「大丈夫だ、クロウに限ってそんな事は起こらない」


シャーノ…!


「せいぜい中の中くらいだな」


おお、上げて落とすタイプか…


「おはよー!」


エリーが余裕そうな顔をして入ってきた、何て憎たらしい…!


「大丈夫だよクロウ君!」


コイツはそう言うと俺の肩を2回叩いて教室へと向かって来た



(筆記試験中)


あれ、これって…


Q.黒魔法の強化に繋がる魔法は?


Q.緑魔法は何魔法の強化に繋がるでしょう?


分かる… 上は父親の、下は母親の魔法じゃないか!


これは勝ったな

俺は解答欄を全て埋めて寝てやった



(昼休み)


「結構難しくなかった?」


エリーがそう言っている辺り、手応えが無いんだろう。ハッハッハ、俺を馬鹿にした罰だ!


「結構簡単に感じたが…」


シャーノめ… 今回の範囲は難しいとか言っておきながら俺の知っている事ばかりだったぞ!


「意外と分かったぜ?」


俺はドヤ顔気味で2人を見つめた


「良かったな」

「合ってるといいね!」


エリーは優しい言葉をかけてくれたがシャーノは何だ! ははん、俺が分かったと言ってガッカリしてやがるな?


「午後からは実技試験か…」


エリーは何やら不安そうだ。 恐らく電気系統を防がれるような物が出ないか心配しているんだろう


「俺はいつも通りだな」


シャーノは重力で押し潰したりしてしまえば何とかなるだろうし、心配は無いんだろう

重力か、中々にチートなのでは…?


「俺もボチボチってとこかな、まあ全力を尽くそうぜ?」


そう言うと2人は笑った


俺達3人はオリエンテーションの頃から随分仲良くなり、協調性も出てきたように感じる


このまま3人でいられたら、最近はよくそう思うようになってきた


また彼らと出会った事で俺自身の考え方にも変化が現れてきているようにも感じる


以前は両親を殺す、それだけだったのに今は自分の為に生きていると感じる事がある


この幸せな時間を壊したくない。今はその一心で俺は魔法を強化している気がする


両親の強制ルートも、こいつらと一緒ならぶっ壊せる気がする

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