33話 馬鹿野郎!

俺とシャーノはエレベーターに乗り込んだがエリーのハッキングによって動くことは無かった


「エリー、エレベーターを動かしてくれ」


俺がエリーから貸してもらった通信機でそう伝えると


「オッケー!」


と返され、上へ登り始めた。 が…


「あ、ごめん。 2階で止める」


突然2階で止まった


「どうした?」


「2階で乗ろうとしてる人がいるの、だから止めちゃった。ごめんね!」


確かにここで誰かに乗り込まれたら大変だ… すると


「上から行く」


シャーノがそう呟きエレベーターの天井に穴を開けた。 どうやったんだ…!


「おい、ちょっと待っ… うあああああ!!」


シャーノが天井から出た瞬間、エレベーターが凄い勢いで1階へと降りた。 このままでは1階の床に激突してしまう!


「エリー、殺す気か! 早く止めろ!」


俺は焦っていた。 シャーノはどこかへ行ってしまうし、エリーにはペシャンコに殺されそうになっていたからだ


ガンッとエレベーターが1階でピタリと止まった。 しばらくはエレベーターに乗りたくないな… すると


ガッシャーン!と上から何か降ってきた!


「どこ行くんだよ」


シャーノだ… 敵かと思った…


「こっちのセリフだ!」


シャーノは何故俺が怒っているのか分からず不思議そうに俺を見た


「2階の人達どこか行っちゃったから3階まで動かすね!」


エリーは3階まで連れていってくれたが、エレベーターの中はかなり風が強く、寒い


「何故こんなに風が強い…」


「お前が開けた穴のせいだよ!」


シャーノはマイペースで天然なだけだ、落ち着け俺…

人生で初めてこれ程風が強いエレベーターに乗った。 むしろ感謝の域だ


3階に着くと


「今度は階段使おう」


シャーノは冷静にそう言ったが、お前はエレベーターのワイヤーを使って上がれよと思った


「この先誰も居ないみたい、王の石版は一番奥の部屋だよ!」


エリーからの通信を頼りに奥の部屋まで行こうとしたが…


3階には部屋が4つしかない。それも2部屋づつ向き合って出来ているので[奥の部屋]なんて物はどこにも無い


「部屋は4つしか無いけど…5つ目があるのか?」


一応聞いてみた。 すると


「4つの部屋のある通路の奥、壁になってる?」


「ああ、見たところスイッチとか何も無いぞ」


「その壁通り抜けて!」


通り抜ける…? じゃあこの壁は映像…


「凄いぞクロウ、半分になった」


シャーノが壁に半身を突っ込み、俺には彼の左半身しか見えなくなっていた どこからツッコメば良いんだ…


「右目、なにか見えるか?」


俺はやや呆れた声でそう尋ねた、すると


「他の部屋のよりも豪華な扉がある」


なるほど、その扉の中に石版があるのか!


「でかした、その扉の中にあるはずだ」


「何故だ、根拠は?」


シャーノは体を上下左右に動かし、壁で遊びながらそう尋ねた。 もう何も言う気力もない…


「証拠も何も隠し扉だぞ? 絶対そこにある」


「そういうものか」


コイツ、ドラマとか観ないのか…?


「ほら、行くぞ」


俺は壁を通り抜け、シャーノの右腕を掴んで隠し扉へと入った

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