32話 洋館へオリエンテーション!

(入学から2週間後)


どうやら学校の恒例行事であるオリエンテーションがそろそろ開かれるらしい


「楽しみだね! クロウ君と行きたいなー」


エリーはやけに楽しそうだった


この学校のオリエンテーションは3、4人のチームをくじ引きで組み、行った先でミッションをこなすという仕組みだった


「ミッションが難しくないといいけどな」


流石に○○を倒せとか、○○を持ち帰れとかそういうのではないと思うが…



俺達はホームルームの時間にくじを引いた


[クリスティン伯洋館で王の石版を持ち帰れ]

は!?


「クロウ君どんなのだった?」


くじを引き終えたエリーが寄ってきた


「おおっ! 私と一緒!」


嘘だろ… コイツ隠密行動とか出来るのか?


「俺もだ」

気づくとシャーノが後ろにいてそう呟いた


俺とエリーとシャーノ、協調性の欠片もなさそうなチームだな。 かなり不安だ…


オリエンテーションは明後日から1泊2日で開かれるので、俺達はクリスティン伯がどんな奴か調べることにした…が


「このケーキ美味しそう…」

「新作が出たのか…」


図書館に来たというもの、エリーは料理本を読み始めた

シャーノはお気に入りの小説家の新作を見つけ喜んでいる


是非ともくじ引きをやり直して欲しい…



オリエンテーション当日、俺達は学校からクリスティン伯の洋館まで歩いた


1時間くらい歩いただろう、洋館に到着した俺達はヘトヘトだった


「さて、どうやって持ち帰るか…」


シャーノは若干苦しそうな顔をしていた


「私がハッキングしようか? 得意だよ!」


エリーがハッキングなんて出来ることを初めて知った…


「1回に管理室があるみたいだからまずそこに行こうか」


俺の提案に2人は従い、中へと侵入した


洋館の中は真っ赤で、壁には沢山の絵画が飾られていた 目がチカチカしておかしくなりそうだ


「この部屋か」


俺達は誰にも見つかることなく管理室に侵入することが出来た。 軽く奇跡だろう


俺は管理室にいた男3人に睡眠状態にさせる魔法をかけ、エリーに堂々とハッキングを開始させた


「王の石版は3階か… エレベーター使う?」


そう言うとエリーはエレベーターの使用を一時中断させた。コイツなかなかやるな…


「俺とクロウが行く」


俺はシャーノに腕を捕まれ無理やり連れて行かれた


「誰かと遭遇しそうになったら俺が眠らせていくからな」


俺はシャーノにそう伝えた


するとエレベーターの前で男が2人立ち止まっていた。 馬鹿め、俺達2人が乗るまでそれは動かないんだよ


「スリープ」


俺はそう呟き、男達を眠らせた。 恐らく1時間くらいは眠ったままだろう


「コイツら隠さないと」


シャーノはそう言うと男達を浮かせ、近くの部屋に入った。 おいおい、誰かいたらどうするんだ!


「スリープ!」


俺は中にいた4人の男を眠らせた


「何考えてんだよ、よく中も見ないで勝手に部屋に入るな!」


「クロウが何とかするって言った」


この野郎…! チームワークって物がまるで無い!


俺はイライラしてきたがコイツはかなりのマイペースなんだろう。 自分にそう言い聞かせ、眠らせた奴らを隠した


このオリエンテーション、中々難しいのでは…?

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