30話 良い奴らに恵まれない!

「堕天使ってどう思う」


たった今初めて会ったやつにそんな事を聞かれてもなんて言ったらいいんだ?


「俺の先生は堕天使なんだ」


俺はレイの話をすることにした


「その人は家族を守るためになった、でもその後家族に見放されたって言ってた」


シャーノは何を考えているのか分からないが、俺の話は聞いているようだ


「でもその人は堕天したことに後悔は無いって言ってた」


俺は話を続ける


「だから、その人が後悔しないなら俺は良いと思う」


俺はシャーノをチラリと見た。 彼はフッと笑い


「お前、良い奴だな」


そう呟いて彼のベッドに横になった


良い奴…ね、天使の一面だろうか


そんな事はどうでもいい。 とりあえず1年間部屋で共に生活するコイツに気に入られて良かった


俺は自分の荷物を片付け、眠りについた



翌日



授業が始まった。 どうやらこの学校は天使と悪魔が同じ教室で、同じ内容の授業を受けるようだ


「じゃあここ、キリカ!」


赤魔法の授業、教師が俺の隣の奴を見た…

寝てる!


「おい、起きろって」


俺はキリカと呼ばれたであろう男の身体を揺らした、しかし起きない、起きる気配もない!


「仕方ない、クロウ答えなさい」


この野郎… わざとか?

俺は渋々答えた。分からないわけでは無かったが何となく癪に触った


授業が終わるとキリカが起きたので


「お前、起きないから教師に目付けられてたぞ」


お陰で俺が問題に答えることになった…


「んえ?」


キリカは寝ぼけている


「あ、そうだった? マジか…」


何だか全く反省している風には見えないが…


「もしかして、俺の事起こそうとしたのお前?」


身体を揺らされた事は覚えているのか…


「そうだけど…」


「えへへ、良い奴だな。 ありがと」


そう言うとキリカは再び眠った

変な奴の隣になってしまった… 最悪だ…



次の授業中


「ああっ、あの、すみません!」


プリントを後ろに回すだけなのに前の席の奴はかなり手間取っている


「大丈夫だよ」


俺はそう言うと目の前の奴が落としたプリントを拾った


ドジという言葉だけでは済まない気か…


授業が終わると前の奴が振り返った


「あの、さっきはすみませんでした…」


ああ、プリントをぶちまけた事か


「別にいいよ、あれは俺のだったし」


濡れたり破れたりした訳じゃないので俺は特には何も言わなかった


「私、サリアって言います…」


「よろしくなサリア、俺はクロウだ」


俺は彼女に右手を出して握手を求めたがコイツは何もしない


「よっ、よろしくお願いします…」


と彼女は前を向いてしまった


右側といい前といい、何なんだコイツらは…

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