29話 入学式、何故お前がここに!

翌日


俺は支度を済ませ、家から出ようとした。すると


「頑張って下さい」


母親が昨日と同じ様な事を言うので聞き流してやった

頑張れ頑張れって、頑張るに決まってんだろ


玄関の扉を開けるとエリーがいた

どうやら俺と一緒に行きたくて待っていたらしい


「行ってきます」


俺は母親に背を向けながらだがそう言った



学校にはかなりの生徒がいたが、試験時よりも確実に人数は少なかった


「やっぱり誰でも受かるわけじゃないんだね」


エリーはいつもより暗めだった。緊張しているんだろうか


「まあそうだろうな、落ちた人達の分まで頑張らなくちゃな…」


エリーは小さく「うん」と答えた



入学式、座っているだけの退屈な時間

バンパイア達を召喚して喋っている方がどれほどマシか…


「王都メサイア学園創設者の話」


司会はそう言った。そういう人の話って長い

んだよなぁ… 眠くなってしまう


「魔王サタン様、お願いします」


…えっ?


「初めまして、魔王のサタンです。名前は聞いた事あると思いますが、本物です」


何故父親がこんな所に…! まさかアイツが!?


「この中には色々な境遇の方がいらっしゃると思います」


父親はいつも家にいる時とは違う雰囲気で話を続けていく


「純粋な天使、悪魔。もしかしたら人間とのハーフの方もいらっしゃるでしょう」


やらなくちゃいけない事ってこのスピーチか…


「もしかしたら、天使と悪魔のハーフの方もいらっしゃるかもしれませんね」


一瞬俺を見たか…? 俺がそのハーフなのはお前のせいなんだが…


「ですがそれも運命です。しっかりと受け止め、自らの個性として生きて下さい」


あの野郎、言いやがったな…


「私からは以上です」


父親はそう言うとステージから降りた


とんでもない入学式だった、まさか父親が創設者とは。 このくそダサいネーミングも父親の物か


俺はクラス分けが書かれている紙をもらい、自分の席に座った


一番後ろの、真ん中の席。まあ良い席だろう

左は…エリー!?


「よろしくね!」


とエリーは俺に手を振った


右は…白髪の短髪の少年、天使だろうか?が寝ている…


前は白髪で後ろ髪が長い。女子だろうか?


俺はこの3方向の奴らに困らされる日が続くと想像してもなかった



「107、107…あった!」


俺の寮の部屋は107号室だった。どの部屋も2人共同で暮らすという事なので、俺はどんな相手と暮らすんだろうとワクワクしていた


部屋に入ると…


「あんたがクロウか」


いきなり喉元にナイフを当てられた! 何で!?


「そうだ、アンタは…?」


早くナイフを下ろせ…! 危ないだろ!


「シャーノ」


そう言うとシャーノはナイフを下ろした


「よろしくなシャーノ」


「おう」


クールキャラか? 黒髪…悪魔だろうか。そう考えていると


「なあ」


と声をかけられた、そして


「堕天使ってどう思う」


彼はそう聞いてきた

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