27話 やらかした!

(試験直後)


「あの100079番の最後の魔法…」


「あれは王家の極一部の者しか使えない特級魔法だろうな」


「何故そんな物を使える子がここへ?」


「あれは一体誰の子だ!?」


試験監督者達はクロウの試験を見て困惑していた

試験に特級魔法を使う者が来るという前例が今までに無かったからだ


「あの親は誰だ!?」


「100079番の情報を入手しました」


「でかした! 早く見せなさい!」


「…こちらです」


「…っ! これは本当かね」


「はい」


試験監督者達はクロウを合格させるかどうか悩んでいた



「ここは…?」


目が覚めると真っ白の部屋にいた。 保健室だろうか


「目が覚めたんですね、試験お疲れ様でした」


白衣を着た女の人が椅子に座ってこっちを見た


「試験終わったんですね、もう帰ります。失礼しました」


俺はさそくさと部屋を出て帰ることにした


「クロウ君! 大丈夫!?」


学校の外に出るとエリーが走り寄ってきた

待っていてくれたんだろうか…


「私が試験終わって部屋から出たらクロウ君が運ばれてくんだもん、ビックリしちゃった」


「心配してくれたのか?」


俺は何を聞いているんだろう…


「うん、でも無事でよかった! 帰ろう!」


エリーは俺の手を引き歩き出した。 俺の家と逆方向なんだけどなぁ…


ふと俺は最後のゴーレムのことを思い出した


「なぁ、最後の大きなゴーレムどうした?」


コイツは倒せたんだろうか


「うん? そんなのいなかったよ?」


いなかった? どういう意味だ?


「私が動かないゴーレムから倒したからかな?」


なるほど、恐らく倒す順番で巨大化するか変わってくるんだろう


…待てよ?

俺、特級魔法使っちまったけど良かったのか!?


「やらかした…」


「ん? 何が?」


「いや、なんでもない…」


不正って言われないかなあれ… そしたらアウトなんだけど…


「ふーん、まあ終わった事は気にしない方がいいよ!」


エリーの無邪気さが羨ましく思えた



「ただいま…」


俺は家に帰ってそう呟くと部屋に籠った


俺はベッドに寝そべり足をバタバタとさせ、そのまま眠りについた


いつまでも俺が部屋から出てこない事に対し、父親は誰かに何か陰口を言われたのではないかと怒り、息子の部屋へ無理やり入ろうとする


しかし母親がそれを押さえつけて静止させようとする


そんな事が起こっていたとは知らず、俺は結局朝まで眠ってしまった

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