20話 予言がなんですか!
母親が風邪を引き、部屋へと連れて行ってから俺は自室に閉じこもった
「死んだ方がマシだ…」
俺は予言の魔道士にはなれない、ならそんな俺に存在価値はあるんだろうか
俺は最後にバンパイアを召喚することにした
「どうなされましたか…?」
バンパイアは心配そうな顔をして俺を見つめた
きっと今の俺の心境を読み取ったんだろう
「最後にお前と話しとこうと思って」
自分でもこんな事を言う日が来るとは思ってもみなかった。こういう話は自分が死にかけている時にするものだとばかり…
「最後とは…私を召喚する事がでしょうか?」
コイツは俺が死のうとしているのをくみ取り、わざとおどけてみせた
「いや、俺の最後だ…」
確か転生前も何度も死のうとしたんだった、父親の虐待から逃れる為に…
「逃げるのですか?」
そうだな、逃げるって言われても仕方ない
「予言に添えないからって逃げるのですか?」
ああ、予言の魔道士になれない俺には何の価値もない。あの両親は卵か礎の為に俺を育てているんだから
「何故そこまで予言にこだわるのですか?」
予言された以上、なるしかないからだ
「魔道士になれなかったら駄目なのですか?」
…駄目だ
「何故ですか?」
…何故?
「父親と母親に復讐するためだ。予言通りになった後、2人が用意した強制ルートを壊す」
俺は閉じられていた口を開いた
「その為の事前の反抗ですか」
そうだ…って、え?
「お前、俺の考えてる事が分かるのか?」
何故こいつは俺の考えている事に対して的確な質問が出来たんだ?
「ああはい、何か読めるようになった様で…」
おかしい、今までコイツにそんな能力は無かった
「恐らくこれも主様の魔法の成長かと」
俺の成長…?
「なので恐れることはありません。主様はいつか必ず予言の、天才魔道士になれますよ」
「本当か…?」
「はい、このバンパイアめが保証しましょう!」
神妙な顔をしていたバンパイアは笑った、それを見た俺は何だかホッとした
「そうか、ありがとう。明日から頑張るか」
俺は人差し指でバンパイアに触れた
今の俺とバンパイアの会話を父親は部屋の外で聞いていた
予言ねぇ、そんなもの気にしなくて良いのに…
クロウにはただ元気でいてくれればそれでいい。でもあの子にはそんな言葉は届かないだろう
クロウは私と妻への復讐に燃えている。そんなあの子にこんな事を言っても火に油だ
破滅の卵か平和への礎、そんなの選べないよな
「私のせいだろうか」
サタンはぼそりと呟き、息子の部屋の前から去った
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