19話 病み期突入!
昨日父親に天使か悪魔かの選択は未だ選べていないと伝え、俺は今日も魔法の特訓を続けていた
「主様、何度も申し上げますが焦せる必要はございませ…」
「うるさいな、ほっといてくれよ!」
俺は自分の魔法が強くならない事に苛立ちを覚え、その結果使い魔にまても強く当たるようになっていた
天才魔道士…俺はその予言に縛られていた
「どうすればいい、どうすれば強くなれるんだ!」
そう聞いてもバンパイアは何も答えなかった
「クロウ…来て…」
母親が家からフラフラしながら出てきた
「何!?」
話しかけるな。そう言葉無しで伝えるため、俺はこのような反応をした
「あのね…ゴホッゴホッ」
風邪を引いたのだろうか、息子を礎にしようなんて考えるからバチが当たったんだ。そのまま死ねばいいのに
「ゴホッゴホッ…」
母親の咳は止まらない、むしろ強くなっていく一方だ
俺は溜息をつき、特訓を中止した
「大丈夫?」
俺は母親を抱え上げ、母親の自室へと連れて行きベッドに寝かせた
「何か必要なものは?」
「水を…頂ける?」
母親の答えは弱々しかった。見てらんねぇ…
俺は大人しく水をコップに汲み、持っていこうとしたが
…しょうがねぇな
俺はキッチンに置いてあったリンゴを剥き、皿に並べて水と一緒に持って行った
「はい」
俺はコップと皿を母親の部屋のテーブルに置いた
「リンゴも…?ありがとう…」
ここまで弱っている母親は初めて見た
今なら殺れるかとも思ったが奇襲で殺すのは癪だなと思った
「じゃあ、何かあったら呼んで」
俺は何を言ってるんだ…?
今、自分がいずれ倒そうとしている相手を看病していたのか…?
自分が分からなくなった。洞窟の中では人を倒そうと悪魔のようになり、今は天使のように母親の看病をしていた
そうだ、悪魔と天使のハーフだ
俺は今更何を考えていたんだろう、馬鹿みたいだ
サタンとラファエルを親に持つ、将来卵か礎になる男。クロウだ
「大丈夫?」
ふと気がつくとまだ母親の部屋にいた事を思い出した
「最近魔法の使い過ぎで疲れているんじゃないかしら、たまには休息も必要よ?」
またそんな事かよ、皆して同じ事をベラベラと…!
「ほっといてくれよ、俺は予言通りの魔道士にならなくちゃいけないんだよ!なのに何なんだよ皆して休め休めって!」
っ…!?俺はなんて事を…
「ごめんなさい…」
母親はそう呟くとベッドに深く潜り込んだ
俺は何も言わずに母親の部屋を出た
何故あんな事を言ったのか自分でも分からない、気づいたら口走っていた
ごめんなさいって言わなくちゃいけないのは俺の方だ、母親の風邪が治ったらきちんと謝ろう
だが…俺は今、悪魔よりのハーフなんだろうか?天使としての俺は白魔法を使えるくらいしか特に秀でたものが無い
「俺の将来は卵か…」
特に意味は無いがそう呟いた。
生まれて2日目には既に俺の人生のレールは親によって全て敷かれていた。まさしく強制ルートだ
そんなものぶち壊してやる。そう意気込んだものの俺には特に大きな進歩が無い、あるとしたら使い魔が大きくなった程度だ
…死んだ方がマシかもしれない
天才魔道士、人生最初の病み期
両親に反抗するという目標が自分の首を絞めている事に俺はまだ気づかないでいた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます