18話 生還後の心理戦!

(洞窟の探索から2日後)


俺は洞窟内での戦いで敵の攻撃に撃ち落とされたバンパイアを再び召喚することにした

使い魔は死ぬことはないと思うが…どうなんだろう、別の個体が出てくるのか?


「どうなされました主様」


あれ?普通だ、怪我とかは特に無さそうか…?


「というより酷いですよ主様、いきなり召喚してあんな命令なさらないでください!」


うん、普通だ


「怪我とかはしてないか?」


俺はバンパイアの体を調べる


「もう治りました、ちょっとした火傷のような物でしたし」


「いや、お前の身体が小さいからな…死んだんじゃないかと思って呼んだ」


「勝手に殺すとか悪魔ですか!?」


その質問は困る、未だ俺はどちらの道を選ぶか決めきれていない…


「悪魔だ、一応」


そう答えておいた。まあ嘘ではないし

ふとバンパイアが以前より少し大きくなった気がした


「お前撃ち落とされて大きくなったか?」


結構失礼な言い方をしたが俺の使い魔だ、別にいい


「主様もそう感じられます?私もなんですよ」


以前は少し大きめのピクシーくらいだったが、今召喚してみるとかなり大きめのピクシーくらいになっていた


「恐らく主様の魔力量が増えたのかと」


バンパイアはそう言うが、俺は急激に魔力量を増やす様なことを特にした覚えはない


…洞窟内での記憶のない時間に何か関係があるんだろうか


「まあ良い事でしょうし、主様が無事に帰宅出来たようで私も嬉しい限りです」


そう言うとバンパイアは俺の部屋を飛び回った



昨夜ニュースを観ていたら洞窟の事が取り上げられていた。10人組の盗賊団が傷だらけで発見され、そのまま逮捕されたと言っていたが


「化け物にやられた」


と全員が口を揃えて話している。とニュースキャスターの女性が話していた

…俺の事だ。記憶のない間、俺は化け物になっていたんだ


俺は天使でも悪魔でも無い、化け物だったのだ

だからマスターも分からないと言ったんだろう、そう思った



「聞いていますか主様?」


気づくとバンパイアは俺の目の前にいた


「疲れているのでは?休息を取られた方がよろしいかと…」


心配そうな顔をされたが、もう2日も何もしていない。このままではせっかく増えた魔力量が減ってしまうだろう


そう思い俺は庭へ向かった


魔力量が増えた…?という事は…

俺はバリアを自分の目の前に張ろうとした、すると


「主様凄いですぞ!」


俺は自分の身体を全体的に覆うバリアを瞬時に張ることが出来た、あとはこれを複数枚作ることが出来れば…!


「凄いじゃないか!」


家から父親が出てきた、と同時にバンパイアも消えた


両親揃って何故そこまで息子が魔法の特訓をしているのを観察しているんだろうか… 気持ち悪い、子離れしやがれ


「何の用?」


マスターに闘えと言われて以来、俺の両親への口の利き方は確実に悪くなっていた


「バリア、凄いじゃないか」


薄ら笑いを浮かべてやがる、この位でテメェの攻撃から身を守れるなんて思っちゃいないさ


「あっそ、邪魔だからあっち行って」


俺は冷たくあしらった、すると


「なあ、レイ君に何を吹き込まれた。お父さんに言ってごらんなさい?」


出たな、正体…

闘うとは言ったがやはりこのオーラを出されると父親を恐ろしく感じる


「別に」


「正直に答えなさい?レイ君には何もしないからさァ」


…っ!答えによっては殺す気なんだろう


「自分の道は自分で決めろって…」


「ああん?何だってぇ?」

怖い…!


「天使か悪魔か、それを決めるのはお前次第だ。そう言われた…」


ふーん、と父親は言った


「そ、クロウはなんて答えたんだい?」


父親からオーラは消え、家にいる時の雰囲気に戻っていた


「俺が分からないって言った、そしたらレイさんがそう答えた」


両親の前ではマスターと呼ばない事にしていた。洞窟の帰り道での彼の話が全部コイツにバレでもしたら、きっと彼が殺されてしまうからだ


「ふーん、そう…」


父親は俺が悪魔の道に進むか決めかねているのに困っているんだろう、なるべく早く俺を卵にしたいに違いない


「お父さんはクロウがどちらを選ぼうが、お前の味方だ」


そう言い父親は家に戻った


今の言葉はマスターも言っていた、俺がどちらを選ぼうが両親は何も反論しない。と


母親は反論しないだろうが、父親はどうだろうか。力でねじ伏せられそうだな…


俺はやはり強くなるしかない…


俺は魔法の特訓を日が暮れるまで続けた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る