17話 マスターと呼んでもいいですか!
俺とレイはボロボロの状態で俺の家へと戻った
「どうしたんだい2人とも!」
魔力の結晶を取りに行っただけなのにこんなにボロボロで、しかも血も流しているんだ。流石のサタンでも驚くだろう
「結晶です…」
レイはそう言い、俺の父親に手渡すと同時に倒れ込んだ
「レイ…さ…」
俺も疲れやダメージからか視界がぼやけ、倒れてしまった
気がつくと自分の部屋のベッドの中にいた
身体には至る所に包帯が巻かれていたが動かしても痛くはなかった。恐らく母親の白魔法が効いているんだろう
俺は部屋から出てリビングへ向かうと父親がいた
「起きたかクロウ、大丈夫かい?」
父親からの質問に首を縦に振った
ソファを見るとレイさんは黒いローブを着たまま、まだ眠っていた。しかし包帯の量は明らかに俺より多そうだった
…生きてるよな?
「レイ君なら大丈夫だ、クロウはもう少し寝ていなさい」
「いや、レイさんが起きるまでここで待つ」
これは反抗ではない、ただ単に彼のことが心配だからだ
「やれやれ、そんなになってもまだ反抗す…」
「うるさい!待つって言ってんだよ!」
言ってしまった、しかも父親(サタン)に…殺される…!
「分かったよ」
父親はそう言うとリビングから出て行った
「クロウ…?」
どうやら今の怒鳴り声でレイを起こしてしまったようだ
「レイさん、大丈夫ですか!?」
俺はレイさんに駆け寄った
「うん、君のお母様のお陰だろう」
レイは起き上がった、どうやら痛みは無いらしい。良かった…
しばらくすると母親がリビングに入ってきて俺とレイを抱き締めた。心地よかった、生きて帰ってこれたんだと改めて感じた
レイは起きて数時間経つと帰ると言い出した
そこで俺は2人で話がしたいと言い、2人で庭へ出た
「僕、ついさっきお父さんにうるさいって言ったんです」
レイは俺に背を向けていたが聞いてくれているようだった
「そしたらお父さん、何も言わずにリビングから出て行ってくれたんです。初めて、言葉で反抗の意志を伝えました」
「うん、それで?」
「お父さん、僕の意見を尊重してくれたんだって…思いました。」
「うん」
「僕は全力で、父親(サタン)と母親(ラファエル)と闘います」
「そう」
「だからレイさん、お願いがあります」
そう言うとレイはようやく俺の方を向いた
「レイさんのこと、マスターって呼んでもいいですか!?」
マスター、その名前は自らの師に対する呼称だ
それを聞いてレイは笑った、そして
「良いよ、好きな様に呼ばばいい。ただし…」
レイは俺に近寄り
「その反抗を続けるなら、ね?」
と俺の頭を撫でた
「はい!」
俺は元気な返事をした
この会話の後、レイはすぐに帰る支度をし始めた
母親は1晩泊まっていく良いと提案したがレイは申し訳ないからと断った
俺は両親と一緒にレイを見送る
「すまなかったねレイ君」
父親はレイにそう声をかけた
「またいらっしゃい」
母親もそう続いた
レイは俺の前に立ち
「大きくなったら、またどこかへ探索に行こう」
と俺に語りかけた
俺は次会った時に恥ずかしくないように、強くなろうと決心した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます