7話 魔力量を増やしてやる!

(クロウ生後25日目)


俺は魔力量を増やすため、朝から魔法を使い続けていた。一向に魔力量が増えた気はしないが、やるだけやってみることにした


「何をしているんだい?」


父親が家から出てきた。クソ、来るなよ…


「お父さん、魔力の量を増やすにはどうすればいい?」


お父さん…気持ち悪いな。コイツをそう呼ぶのさえ嫌だ


「何だ、そんな事かー」


父親は普段笑っているが、声を出して笑い始めた

今の質問がそんなに面白かったかよ…


「じゃあ簡単で安全な方か、効果は強いけどリスクがある方、どっちが良い?」


割と真剣に答えてくれた、俺を手懐ける為だろう


「両方」


リスクなんてどうでもいい、強くなれるなら腕でも足でも何だってくれてやる


「うーん、それはちょっとなぁ…」


大事な卵に怪我をされると困るのだろう、コイツは何をしても気に食わない


「今日は簡単な方にしよう、リスクがある方はこれに耐えれたらね?」


父親は悪魔の様な笑みを浮かべた。ああ、悪魔か、しかも上級の


「はいこれ」


と内側が光っている飴みたいなものを俺の前に出した、こんな怪しそうな物を食えと?

チッ…食ってやるよ!


俺は父親の手からそれを奪い取り口に入れた


「あ、いや…そうじゃなくて!」


…!身体中が痺れる!

どうやら俺は使用方法を間違えたらしい


「クロウ、吐き出せ!」


いや、待てよ、吐き出せという事は呑み込んだら死ぬほど強力な物なのか?

良いだろう、飲み込んでそのまま死んでやる!一生悔いて生きろ!


ごくんと音を立てて俺は呑み込んでやった


「ぐぅぅっ!」


俺は呻き声を上げて倒れた

味が悪かった訳では無い。この飴の様なものは多分父親の魔力の結晶の様なものだ!


身体中が痛い…クソッ、死んでやる!


するとピタりと痛みが病んだ

…?死んだか?


「大丈夫かい?クロウ」


心配そうな父親が俺の体を揺らす


「触んな!」


俺は父親を振り払った

特に体に異常は見当たらなかったので多分生きてるっぽい


「はははっ、こんな時にまで反抗期かい?」


父親はまたも悪魔の様な笑みを浮かべていた


「いいねぇ、それでこそ私の子だ」


背筋がゾクゾクとした。これが本物の悪魔…

息子を破滅の卵にしようとしているサタンの真の姿…


「さて、質問だけど、どうして魔力量を増やそうとしたんだい?」


…真実を答えるべきか?でも選択肢を誤れば今、ここで俺はコイツに殺されるかもしれない


「モンスターを召喚したかった」


と答えた

すると父親は声を出して笑った


「お友達が欲しかったのかい?」


本気で俺を小馬鹿にしにきている


「予言の魔道士に近づきたい」


すると父親の笑い声はピタリと止まった。コイツにとって俺が予言に近づくという事は、俺が卵に近づく事を示すからだ


「良い心がけだ。じゃあお父さんは行くね?」


父親は漆黒の翼を生やし、飛んで行った


あの野郎、最後に見せつけて行きやがった…

モンスターを召喚出来たら次は羽根でもなんでも作ってやる


クロウの目標は父親によって増やされた

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