5話 俺は剣術で白魔法を知った!

(クロウ生後16日目)


一昨日エヴァンスに魔法を教わってから俺は魔法の練習に精を出していた。だが、まだまだ弱い


「危ないってば…ねぇ?」


あの時の記憶が魔法の練習をする度に蘇る

…未だに鳥肌が立つ


あんなのが俺の父親だと?ふざけんなよ、絶対にぶっ殺す


俺が練習を続けていると母親に呼ばれた


「ミカエル様がいらっしゃってるから、ご挨拶なさい」


ミカエル、母親の上司だろうか…それとも同僚だろうか。転生する前に聖書とか読んでおけばよかった


「初めまして、クロウと申します。いつも母がお世話になっております」


俺は両親以外にはなるべく無礼のないようにしている。変な所で敵は作りたくない


「そんなに畏まらなくてもいいのですよクロウ」


ミカエルは母親と肩を並べるほど綺麗な顔立ちをしていた。だが、何か冷たい眼差しを向けられているような気が…


「そうだわ、ミカエル様に剣術を教えて頂けないでしょうか」


剣術!?魔法で手一杯なんだが…

それに魔道士に剣術は要らないだろ!


「良いでしょう、お教え致します」


とミカエルは答え、3人で外に出た


「まずは剣をお貸しいたしましょう」


「いえ、剣は…」


俺は腕と同じくらいの長さの片手剣を想像し、目の前に出した


「これでよろしいでしょうか」


とちょっと笑って、カッコつけて言った

これには母親も驚いていた


「なるほど、素晴らしいです」


ミカエル本心は別の事を思っていそうだったが、俺にはどうでもよかった


「いきますよ、容赦はしません。まずは私と剣を交えて技術を盗んでみて下さい」


と言い終わると同時にミカエルは飛びかかってきた。何だよコイツ、おっとり系かと思いきや…!


ミカエルは偽物の剣を使っていたが当たるとかなり痛かった。ガチかよこの女、怖すぎるだろ


生後16日目(身体は小学校高学年くらいには成長したが)の子どもにここまでするかよ!


「クソ、こんの野郎!」


俺はそう叫んで剣を振るとミカエルの剣に当たり、そのまま弾き飛ばした


「なかなかのパワーですね。本当に生後16日目ですか?」


そう言われたが恐らくなめられている


「少し見くびっていましたよ…」


とミカエルは本物の剣を取り出した!


「ミカエル様、それは危険では…!」


と流石の母親も止めに入った。だがミカエルには届いていない


「はぁっ!」


ミカエルは尚も剣を容赦なく振り回す

コイツ何考えてやがんだ、俺を殺す気か!

俺も負けじと剣を交える


時々ミカエルの剣を捌ききれずに俺の身体に当たる。腕や脚が切れ、血が出る


「痛てぇだろうが!」


俺はミカエルの攻撃に怒りを覚え、隙をついてミカエルの左腕を大きく切り裂いた


「ぐうっ…!」


ミカエルの左腕から沢山血が出ている

そこへ母親が駆け寄り白魔法(?)で治療を始めた

母親はラファエルの[癒しの天使]の名通りすぐにミカエルの傷を直した


「流石はラファエルのご士族です」


とミカエルは言ったが、あの冷血な目は間違えなく「サタンの息子が…」と言いたげな様子だ


「申し訳ございません」


俺は深々とお辞儀をした。ニヤりと笑いながら

してやった。そう思った


「今度また、剣の稽古をしに参りますので今後ともよろしくお願いします」


そう言うとミカエルは足元に魔法陣の様なものを出現させ、消えた


「クロウ、大丈夫?」


母親が白魔法(?)を使おうとしたので、それは何かを聞いてみた


「これは白魔法と言って、人を癒す魔法なの。扱える人は滅多にいないけれど…」


「へぇ、どうやって使うの?」


俺はこれをマスターしてやろうと考えた


「ええっとね、治したい場所に手を近ずけて…」


俺が自分の脚の傷口に手を近ずけると、手から白い光が出た


「クロウ、貴方…!」


母親の反応を見る限り、これが白魔法なのだろう


「どうしたのお母さん?」


俺はとぼけた。母親の驚いた様子が面白かった


「使えるじゃない。凄いわ」


母親は俺の頭を撫でた。右手には剣、左手は白魔法と両手が塞がっていたので頭で振り払った


全く、この親どもは人の頭を撫でるのが好きらしい。気持ち悪い


「そうなんだ、これが白魔法って言うんだ…」


そんなの知っていた。でも一応知らなかったという設定にしておいた方が後々面倒くさくならないだろうと思っての事だ


「もう少し剣術の練習をするね」


そう言って立ち上がり俺は剣を振り始めた

母親は手伝うと言ってきたが大丈夫だと言った


ミカエル…倒す敵が増えてしまった

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