3話 何なんだこの家族は!
(クロウ生後7日目)
今日で俺が産まれて1週間経ったそうだ
父親は仕事(魔界での仕事だろうか)に向かっていて、家には母親と2人きりだった
先日は父親の正体と本性を知り、落胆した
俺はあの出来事以来、母親を信じて生きようと決めた
またあの日以来、俺はある程度は話せるようになった
「クロウ、ご飯が出来ましたよ」
母親は俺に対していつも敬語で話す。理由は不明だ
俺は手も動かせるようになり、1人でご飯を食べられるようになった。日本とかだったら呪われているとか言われるだろう
「ごちしょうさまでしあ!」
ハッキリとは喋らないが生後7日目にしては話せる方だと思う。いや、話せ過ぎて怖いレベルなんじゃ…
「美味しかったですか?」
「うん、ありゃとう、おかあしゃん!」
ありがとうお母さん、そんな言葉を前世で言った記憶はあまりない。だからこそ今のこの生活が新鮮だった
「よく言えましたね」
母親も俺の頭をよく撫でる。
母親が頭を撫でるのはまだ良い、父親のはよく振り払っている
俺の事を卵としか思っていないあんな奴知らん
「クロウ、まだ分からないかもしれないけれど」
母親が俺の頭を撫でながら話し始めた
「貴方は平和への礎になるのです」
…え?
「貴方のお父様は貴方を破壊の卵にしたがっているけれど、私にはそうなって欲しくはないのです」
何を言ってるんだ…?
「貴方はサタンと私(ラファエル)の息子です。その2人から与えられた魔力を存分に使用し、世界に平和をもたらすのです」
それ以上母親は何も話さなかった
ラファエル…人や神を癒す天使だったはず
母親は、いや、母親も凄い人だったのか
何となく予想はついていた。サタンが普通の天使と結婚する事なんてないと思っていたからだ
ははっ…俺は父親はおろか母親にすら子どもとして見られていなかったのか、何だか笑えてきた
母親なら、俺を、ただの子どもとして見てくれていると思っていたのに。
結局母親の頭を撫でるという行為も偽りだったのだ
何だこの本心を隠しあって、自身の子どもをかなりの理由価値のある物としか思っていない家族は
転生したって何も変わらない。むしろ酷くなった
俺はこの日以来、周囲にとってとても優秀な両親を心の底から嫌った
この両親の元へ転生させた神を恨んだ
こんな所に産まれた俺の運の悪さも憎んだ
それと同時に、俺の終わることの無い反抗期が始まった
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