2話 父親の正体!
翌日(クロウ:生後3日目)
父親が言っていたエヴァンスという男がやって来た。茶髪だが格好は真っ黒だった
そういえば父親は頭から足の先まで真っ黒だ、母親は真っ白なのに。そういう趣味か?
「初めましてクロウ君」
エヴァンスという男に頭を撫でられた
近くで見るとちょっと老けて…ゲフンゲフン
俺の父親が若いのか、この男がちょっと歳をとっているのか…
「サタン様、この子がサタン様の予言されたお子様ですか?将来はお綺麗なお顔だちになられますな」
まあ顔立ちはあの父にあの母だからな、綺麗にならない訳ないと思うが…
そういえば転生してから鏡を1度も見たことがない
言葉を話せるようになったら見せてもらおう
…サタン様?サタンってめっちゃ強い人なんじゃ
「当たり前だ、私と彼女の子だ。魔法の実力はおろか容姿も完璧な子になる」
いやサタンって俺の父親!?
アンタそんなに凄い人だったの!?
「流石はサタン様でございます」
マジかー、マジで父親サタンなのかー
いや、サタンって聖書とかゲームにも結構出てくるやつだよな?
強さの序列みたいなのってありそうだけど…ベルゼブブとかルシファーとかもいるんだろうか
「そういえば奥様はどちらへ?」
確かに、と母親が居ないことに気づいた
「ああ、お前が来ると聞いて気を利かせ出かけたよ」
もしかしてこのオッサン嫌われてるのか?(笑)
あーでも母親は全身真っ白だったから天使って事も有り得なくないな
父親が真っ黒い格好をしているのが悪魔だからと考えると母親の天使説は十分有り得る
父親とエヴァンスの話は2時間くらい続いた
どうやら次は何処を攻めるかどうか、何処と同盟を結べば自国有利になるかを話している様だった
サタンとこれ程2人で話している辺り、エヴァンスもそこそこの階級を持っているんだろう
「ではサタン様、失礼致します」
話が終わったらしく、エヴァンスは帰る準備を始めた。後半はあまり良く聞いてなかったが、とりあえずここが日本では無いことが分かった
エヴァンスが出て行くと父親と2人きりになった
…殺されないか心配だ
多分この人は極悪非道だ。いや、絶対!
だって悪魔の偉い立場の人って結構な確率でそうじゃない?
「クロウ」
俺は頭を撫でられた。前のクソな父親には撫でられた事さえなかったので、撫でられると何故か涙が出そうになってしまう
それに、今の父親の頭の撫で方は何処か優しかった。落ち着けるというか、安心感でいっぱいになる
本当に悪魔で、しかも偉い人なんだろうかと疑ってしまいそうになるほどに
「お前は破壊の卵になるんだ」
突然の父親の発言に言葉を失った。言葉はまだ話せないけど。まあ、例えだ、うん
破滅の卵…?何だそれは
俺はこの父親に卵にしか見られていなかったんだろうか
この優しく頭を撫でる行為も、全部、嘘…?
「クロウ…?大丈夫か?」
俺は泣いていた。赤ん坊は泣くのが仕事だとよく言うが、そんな泣き方ではない
シクシクと、涙がゆっくりと頬を濡らしていくような泣き方だ
父親が俺の頭を撫でてくれたことが全て嘘だったと思った瞬間、何かに裏切られた気がした
勝手に俺が何かに期待していただけだ、きっとそうだ。
ほら、やっぱり悪魔は極悪非道だ。そう思えてきた
俺は俺を撫でていた父親の手を振り払った
「クロウ…?」
父親の心配そうな声がした。卵を心配する声が
「もう俺に触れるな、話しかけるな、近寄るな」
今すぐにでもこの一言が言いたかった
赤ん坊で産まれてきていなきゃとっくに言ってただろう
俺は父親を背に寝たフリをかますことにした
すると
「お…とうさ…ん」
無意識に言葉が出た
すると頭上から水滴が落ちてきた。雨漏りかと思い、上を見上げた。すると
父親が…サタンが泣いていた
何故泣いているのかは分からないが、俺も収まってきた涙が溢れそうになった
もらい泣きってやつか
俺と父親(サタン)はしばらく2人で泣き続けた
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