第20話 ブログ主がズボンの訳語を考える

 おれは子供の頃から英語が苦手で、外来語を日本語に訳すのが楽しみだった。

 日本を西洋の進出から守るんだと誰に宣言したわけでもないのにがんばっていた。

 おれの十代の頃は、日本の音楽家は英語で作詞して、日本人には歌詞のわからない歌を積極的に作って歌っていた。

 さらに、日本人が日本のことを「ジャパン」と呼んでいて、「ニッポン」ということばより「ジャパン」の方が格好いいという風潮があった。

 それに抵抗しつづけたおれは、なんとか、二十年たった今、日本の音楽を日本語の歌詞で聞くことができ、祖国のことを「ニッポン」と呼ぶことができている。


 外来語を日本語に訳するのが楽しみだったといっても、難しいものが多い。いったいいくつの訳語を考えたのか覚えていないが、思いついたものを書いておく。

 外来語を日本語に訳すのはとても難しいので、これだという訳語を思いつくとうれしくてしかたない。


「ズボン」:「足着(あしぎ)」。とうとうこの訳語を思いついた。ファッション業界の陰謀なのか、ズボンの単語は流動的で理解しづらい。

「ファッション」:「衣服」。ファッションの訳語はこれが妥当だ。

「ボイン」:「巨乳(きょにゅう)」。この訳語を考えるのに若年のおれが八年かかった。これはおれが訳したものだ。

「エキゾチック」:「異国情緒」。

「ワルキューレ」:「選抜姫」。これは二十年くらい考えてようやくたどりついた。言語「ワルキューレ」と読みたいが、日本語訳を求めている人も多いはず。

「アイデンティティ」:「個性の根拠」。二つの単語を使ってしまっているが、「自己同一性」よりは意味が通じるのではないか。

「ヒント」:「おすすめ注意点」。まだ長すぎる訳語なので、練っていきたい。

「ケミカル」:「分子学」。化学だと科学と発音が同じなので、訳語を変えた方がいい。

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