四枚目 跡取りの教育係という奴隷

 時系列でいうと一枚目になるんですが。

 私の母方の伯母は実家よりも貧しい家に嫁ぎ、その息子、私より三十才年上の従兄が一代で島有数の名家に格上げしました。

 経済的には私の祖父の加藤家が分家のような扱いになり、親族から嫌われていた母の代わりに私が法事などのイベントすべてに参列、従兄に向けて頭を垂らしました。

 それに加えて、親族の中では母子家庭なのは私の家だけだったので、親族からの差別の対象になりました。

 わずか十歳にして大人の穢れた暴言を全身で受けていたのです。

 しかも従兄の息子は私の二才年下で学力は下の中といったところ。

 私は無償で教育係をすることになりました。拒否権はありません。

 島での差別のため気を許せる友人はいないものの、自分の時間はまったくありませんでした。

 それを見かねた母は祖父の家から離れた島内のアパートを借りることを決意。

 十二歳で勉強できる環境を得ました。

 私は何が何でも島から通えない遠い高校に合格してやる! という思いで必死に勉強、無事に合格しました。

 十五才、中学卒業と同時に奴隷のカードを捨てました。

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